【12月3日 AFP】生活排水からビール──。水の再利用に取り組む米企業が、都市部から出る排水を処理した再生水を使って、ライトでフルーティーな黄金色のアルコール飲料を製造している。

 その企業はカリフォルニア州サンフランシスコに本社を置くエピック・クリーンテック(Epic Cleantec)。

 共同創設者で最高経営責任者(CEO)のアーロン・タータコフスキー(Aaron Tartakovsky)氏は、地球温暖化の影響で米西部が慢性的な干ばつに見舞われる中、一見「まずそう」な「未開拓の水源」に対する人々の意識を変えたかったのだと、ビール製造を手掛けるに至った背景を説明した。

「文明が始まって以来、ビールは人々を一つにしてきた」と語るタータコフスキー氏。

「現在、気候変動に直面しているが、再生水があれば将来世代にわたって安心を確保できる。(ビール造りは)それを示すための格好の手段だ」

 ビールには、550戸が入るサンフランシスコの集合住宅計から出されるシャワーや台所、洗濯機などの排水が使われている。

 エピック・クリーンテックは、建物から出る排水を地下階で処理し、それを各部屋に戻してトイレの水として再利用したり、灌漑(かんがい)用に使ったりするシステムを手掛けている。

 ただ、カリフォルニア州では、処理水を飲料として再利用することは法律で禁じられている。

 タータコフスキー氏はしかし、どろどろに濁った水も、処理することで澄んだきれいな水に変わると指摘。「連邦法が定める飲料水の水質基準を満たせるどころか、それ以上の品質にすることもできる」と話す。

 それを証明するため、ビール醸造所とタッグを組み、再生水ビール「エピック・ワンウオーター・ブル―(Epic OneWater Brew)」を完成させた。ドイツの「ケルシュ(Kolsch)」にインスパイアされたビールだという。