■「ビール通でも区別がつかない」

 エピック・クリーンテックは、排水を3段階に分けて処理する。

 まず、バクテリアを使って不純物を処理する。人の体内で、摂取した食べ物や飲み物に腸内微生物が作用するのに似ている。

 次はろ過だ。毛髪の太さの1000分の1程度の穴が開いた膜を使う。

 最後に、紫外線と塩素で消毒する。

 エピック・クリーンテックと共同で処理水ビールを手掛ける醸造所、デビルズ・キャニオン・ブルーイング(Devil's Canyon Brewing Company)の創設者クリス・ギャレット(Chris Garrett)氏は、出来栄えに驚いたと話す。

 同氏は、普段のビール造りで使っている上水よりも、再生水を使った方が雑味が少ないようだとし、違和感は全くないと言う。

 市販ビールと再生水ビールを使ったブラインドテストを行っているというギャレット氏は、「ビール通にさえ区別がつかない。(市販ビールとの)違いはない」と語った。

 それでも、カリフォルニア州の法律では、エピック・ワンウオーター・ブルーは販売できない。

 タータコフスキー氏とギャレット氏は、現状は変わると期待し、大規模なイベントへと出向き、再生水ビールを無料配布している。最近ではニューヨークで開催された気象サミット「Climate Week NYC」に乗り込んだ。

「人々の再生水への反応は思っていたよりも前向きだった。私たちのビールプロジェクトがそれを証明した」と、タルタコフスキー氏は話す。

 同氏は、自身の結婚式でもエピック・ワンウオーター・ブルーを提供したという。