■飲用化に向けて

 アリゾナ州スコッツデール(Scottsdale)など米国の一部地域では、排水を処理した水をゴルフ場での散水や農場での潅水に利用している。

 カリフォルニア州オレンジ郡(Orang county)では、再生水を地中に注入している。再生水はやがて帯水層にまで浸透し、最終的には再び上水用に取水される。

 一方、オレンジ郡では干ばつによって水源が縮小していることもあり、当局は再生水を環境中に戻さず、直接、飲用に処理するプロセスの承認を模索している。これは「DPR」として知られる処理方法だ。

 コロラド州では昨年、一足先に再生水の直接利用を開始した。アフリカ南西部ナミビアの砂漠地帯の都市ウィントフーク(Windhoek)では、数十年前からDPRが活用されている。

 ただ、反対の声も上がっている。

 反対派は、排水の再利用を「トイレから蛇口へ」と揶揄(やゆ)する。ただし、リサイクル技術そのものについては真っ向から議論しようとしない。

 そうした中、スタンフォード大学が最近公表した研究結果によると、再生水は水道水よりも品質が高い可能性があることが分かった。

 再利用水をめぐっては、海水を真水にする技術も存在するが、これにはより多くのコストがかかる。

 研究論文の共同執筆者のビル・ミッチ(Bill Mitch)教授(土木環境工学)は「一般的には海水の淡水化の方が好まれる」とした上で、「(海水処理は)沿岸部で行わなければならない上、都市排水の処理よりもはるかに大量のエネルギーを必要とするため、コストが2倍程度になる」と説明した。

 近年、再生水を用いたビールはアリゾナ州とアイダホ州でも造られている。

 ミッチ教授は、「こうした動きが、『トイレから蛇口へ』といった、再生水について人々が抱いている印象を打ち砕いている」とコメントした。(c)AFP/Romain FONSEGRIVES