【11月22日 AFP】欧州連合(EU)は21日、パレスチナに対する開発援助について、イスラム組織ハマス(Hamas)に資金が流入している事実は確認されなかったとして継続する方針を発表した。ただし、今後より厳しい規制が適用される可能性はあるとしている。

 EUは、パレスチナ自治区のガザ地区(Gaza Strip)とヨルダン川西岸(West Bank)に暮らすパレスチナ人に支援を提供する国際組織としては最大。2021~24年に12億ユーロ(約1900億円)規模の援助を予定している。

 ガザを実効支配するハマスが先月イスラエルを奇襲し、イスラエル側の死者が民間人を中心に1200人に上り、人質として240人が拉致されたことを受け、EUは援助の見直しを行った。

 EU欧州委員会(European Commission)のバルディス・ドムブロフスキス(Valdis Dombrovskis)上級副委員長(通商担当)は「見直しの結果、EUの資金がハマスに直接または間接的に利益をもたらしたことを示唆するものは確認されなかった」として、「パレスチナ人や国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への支援は継続される」と述べた。

 一方でEUは、反ユダヤ主義に関わる恐れがないか審査を強化するなど、今後より厳しい規制措置を適用する可能性があると付言した。

 パレスチナ支援問題は、中東情勢をめぐるEU内の分断の深さを浮き彫りにした。

 イスラエルへの強い支持を表明しているハンガリー出身のバールヘイ・オリベール(Varhelyi Oliver)欧州委員(近隣国政策・拡大交渉担当)は、ハマスによる奇襲後、EUはすべての開発援助を一時停止すると発表。しかしEUはこれを即時撤回し、援助の見直しが済むまで支払いが凍結されることはないと説明していた。

 今回見直しの対象となった開発援助には、ガザへの食料・医薬品の供給といった緊急人道支援は含まれていない。(c)AFP