【1月3日 AFP】独ベルリン・ブランデンブルク空港(BER)で、4歳の雄のダックスフント、ベニーがマヤさん(8)に近づき、短い後ろ足でくるりと回り、鼻先を擦り寄せた。

 トルコ行きの便に乗る予定だったマヤさん一家は、搭乗時刻の3時間前に空港に到着していた。待ち時間の長さに少し不機嫌になっていたマヤさんは、たちまちベニーに夢中になり、父親のミヒャエル・ウートさん(38)も、少しほっとした様子を見せた。

 国際空港としては小規模なBERは建設工事が大幅に遅れ、費用が膨れ上がり、2020年に開業した。

 利用者のストレスを軽減するため、特に性格が穏やかな3匹の犬を2人の訓練士と共にターミナル内に試験的に派遣している。

 ドイツで3番目に利用客が多いこの空港で、ベニーは、ラブラドールのエミ、テリアの雑種のペッパーと任務に就いている。

 長いリードを着けられた犬たちがターミナルのぴかぴかの床をパトロールしていると、ちょっとした娯楽を必要としていそうな旅行者はすぐに見つかる。

■「呪われた」空港

 BERは技術的な問題と汚職疑惑が相次ぎ、開港が9年も遅れたことから、国内メディアからは「呪(のろ)われた」空港と呼ばれるようになった。

 総事業費は当初の計画の3倍以上となる60億ユーロ(約9700億円)に達した上、新型コロナウイルスの流行で航空需要が減退した時期に開業が重なった。破産を回避するため、2026年までに20億ユーロ(約3200億円)近い税金が投入されることになっている。

 職員不足のため、搭乗手続きには大行列ができ、手荷物を引き取るにも長時間待たされたという報告がたびたび乗客から寄せられている。

 状況はおおむね改善されてきているものの、搭乗まで少なくとも2時間半の余裕を見るよう空港側が呼び掛けたこともSNSで論争を呼んだ。