■「特効薬はない」

 エアルームや、スイスのパイオニア的企業、クライムワークス(Climeworks)などが手掛ける「直接空気回収(DAC)」技術は、排出元の工場などでCO2を回収し、地中や海中に貯留する「二酸化炭素回収・貯留(CCS)」技術とは仕組みが異なる。

 エアルームが石灰石の利用を決めたのは、大量に入手可能だからだ。CO2を貯留する場所にも事欠かないとしている。

「米国だけでも、産業革命後に排出された全量を貯留できる」と、マックイーン氏は語った。

 これに対しCCS技術のスタートアップ、コクーン(Cocoon)の共同創設者ウィル・ナップ(Will Knapp)氏は、大気中のCO2を回収するよりも、工場や製鉄所といった排出元で直接回収してしまう方が簡単だと主張する。

 CO2濃度は製鉄所の溶鉱炉では10~30%だが、大気中では1%にも満たないと指摘。大気中からの回収は「干し草の中で針を探すようなもの」だと例えた。

「気候変動対策で特効薬はない。ただ特効薬は必要ない。薬があればいい」と、ナップ氏は話した。 (c)AFP/Julie JAMMOT