【10月20日 CGTN Japanese】江蘇省蘇州市でこのほど、中学校の教師が1度も遅刻したことのない生徒が登校していないことに気づき、保護者に携帯電話で連絡しました。しかし先方の電話は電源が切られていました。教師は不審に思い、意を決して自動車を運転して生徒自宅に出向いたところ、思いもかけず生徒の一家の全員の命を救うことになりました。

 同件が発生したのは10日午前でした。中国東部に位置する江蘇省の蘇州大学第2実験学校の中学2年3組は午前7時すぎに、授業前の朝の読書の時間になりました。担任の劉進先生はいつものように教室を見回っていましたが、1度も遅刻したことのない女子生徒の王希婕さんの席が空いていることに気づきました。すぐ両親に電話したのですが、2人の携帯電話はいずれも電源が入っていませんでした。不審に思った劉先生は意を決して、王さんの自宅に出向いて、状況を確認することにしました。

 車を運転して王さんの家に到着した劉先生はドアを何度もノックしたのですが、反応がありませんでした。劉先生は何かの事故かもしれないと心配になり、ドアを強くたたきながら、大声で王さんの名前を呼び続けました。しばらくたってやっとドアが開けられました。

 その日の朝、王さんの母親は午前5時過ぎに起き、娘の朝食を用意しました。安全のためにガスコンロの火を小さくしてベッドに戻り、ちょっとだけ眠ってから火を消そうと思っていたのですが、思わず寝込んでしまいました。当日はあいにく少し冷え込んでいたので、ドアと窓はしっかりと閉めていました。さらに、両親は就寝する前に携帯電話の電源を切る習慣でした。劉先生の慌ただしいノックの音に目を覚ました王さんの母親は、火が付いたままのコンロの上で鍋が焦げていることに初めて気づきました。同時点で、家の中では二酸化炭素の濃度が上昇しており、家族全員が昏睡状態でした。もし担任の劉先生が訪れなければどんなことになっていたのか、考えるだけに恐ろしい状況でした。

 王さんの母親は、「先生に起こされた時、家族はみな頭がふらふらしていて、体を動かすのも難しかった。劉先生のおかげで、深刻な事故が避けられた。私たちは、こんなに責任感のある先生に恵まれてとても幸せだと思っている」と、感謝の気持ちを明かしました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News