【9月28日 CNS】第19回アジア競技大会(19th Asian GamesAsiad)が9月23日に開幕した。アジア大会はスポーツと文化の祭典であるが、豊かで多様な大会の核心要素は、開催都市の文化の根底にあるものを反映し、大会の独特な美学を体現している。

 杭州アジア大会のマスコット「琮琮(Cong Cong)」「宸宸(Chen Chen)」「蓮蓮(Lian Lian)」は、それぞれ中国・杭州市にある三つの世界文化遺産、良渚古城遺跡、京杭大運河、西湖を象徴しており、杭州の歴史、人文・文化、自然生態系、創造性を融合させている。

「琮琮」のデザインのインスピレーションは良渚古城遺跡から来ており、体は大地、豊穣を象徴する黄色を基調とし、頭の模様は良渚文化のシンボル「神人獣面紋(良渚文化の人びとがあがめた神の姿)」をモチーフとし、「困難を恐れず、自己を超越する」という意味が込められている。

「宸宸」は京杭大運河を代表し、頭には世界でも珍しい錢江潮をのせ、額には京杭大運河の杭州区間にある代表的な建築物・拱宸橋の模様があしらわれており、知恵と勇気、聡明で活発、楽観的・前向きという意味が込められている。「蓮蓮」は蓮の葉が西湖の名勝「三潭印月」を頭飾りとし、純粋で善良、活発で可愛らしく、熱心でおもてなし好き、美しく魅力的という意味が込められている。

 伝統文化と江南の要素の融合は、杭州アジア大会のトーチ「薪火(Xinhuo)」のデザインにも反映されている。「薪火」のデザインの着想は、中国の五千年の文明史の証である良渚文化から来ている。トーチは下から上に向かって生まれ成長していくようなデザインとなっており、全体的な輪郭と曲線は手でまきを握るような形になっている。そのデザインは、良渚古城遺跡から出土した代表的な文化財・玉琮(内円外方形の儀礼用玉器)を象徴し、歴史、人文・文化と自然を主幹として、中国文明のまき火の継承を意味している。「トーチの名前『薪火』自体が「伝承」の意味を含んでいる」と、トーチデザイナー、中国美術学院(China Academy of Art)インダストリアルデザイン研究院の王昀(Wang Yun)院長は述べている。

 良渚文化は、杭州アジア大会のメダル「湖山(Hushan)」のデザインにも反映されている。「湖山」は良渚文化の礼器、玉琮のシンボルであり、四角い玉琮と円形のメダルを一体化させ、独特の形になっている。「湖山」の表面は凸線で「三面雲山一面城」の杭州城の絵巻を描き出し、湖水は波紋を立て、山は起伏している。メダル上部のバックルは倒影を持つ三孔橋で、デザインは京杭大運河の最南端の拱宸橋から取られている。一つのメダルにも、杭州の三つの世界文化遺産が融合されている。(c)CNS/JCM/AFPBB News