【5月24日 AFP】中国で、詐欺師が人工知能(AI)を使ってビデオ通話で実業家男性の親友に成り済まし、男性から430万元(約8400万円)をだまし取ろうとする事件があった。当局がこのほど明らかにした。

 被害男性の元に先月、親友の顔と声を持つ人物からビデオ通話があった。22日に政府系メディアポータルが掲載した記事によると、この通話相手は「AI技術で顔(と声)を変えた」詐欺師だったという。

 被害者は、別の友人が金を必要としているという詐欺師の言葉を信じて430万元を送金。その後、通話相手だと思い込んでいた親友にメッセージを送った際、親友がこの取引のことを把握していないことが分かり、事件が発覚した。

 被害者から通報を受けた警察は、銀行に送金を行わないよう要請。送金した430万元のうち、340万元(約6700万円)は回収された。

 警察は、残金についても回収が試みられているとしている。犯人の身元は公表していない。

 米企業オープンAI(OpenAI)が昨年11月に対話型AI「チャットGPT(ChatGPT)」を発表して以降、AI技術に起因する危険性に対する関心が高まっている。

 チャットGPTは、中国では使用が認められていないものの、仮想プライベートネットワーク(VPN)を活用してアクセスするユーザーは増加している。(c)AFP