■「現代国籍法」

 トルコ人の権利獲得に向けた闘いに深く関わってきたサルグトさんによると、当初、トルコ系移民には権利がほとんど認められず、劣悪な扱いを受けていた。

 やがて、状況は改善に向かった。家族の呼び寄せも増えた。しかし、国籍取得への道のりはなお険しかった。

 高いドイツ語能力を身に付けるとともに、社会に溶け込んでいることを証明する必要があった。そして、トルコ国籍の放棄が必須だった。母国との強い結び付きを維持している人々にとっては、胸が張り裂けるようなことだった。

 2021年に発足した左派・社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)による連立政権は、新たな「現代国籍法」の導入を公約に掲げている。

 現在検討中の法案では、すでに二重国籍が認められている欧州連合(EU)加盟国やスイス出身者以外の外国人にも、二重国籍取得の道が開かれる。また、取得に必要な在留期間は現行の8年から5年に短縮される。一部については3年への短縮も検討されている。

 高齢化しつつあるガストアルバイター世代の一部移民は、コミュニティー外との交流がほとんどなかったこともあり、言語要件が大きな障害になっていたが、それも緩和される見通しだ。

 TGDは、改革の恩恵を受けるドイツ在住トルコ人は最大100万人に上り、非常に大きな影響がもたらされる可能性があるとしている。

 統計によると、人口約8400万人のドイツで、トルコ系移民は約280万人に上る。

 新政権発足に当たり与党各党が合意した連立協定には、国籍法改正について、現代ドイツを特徴付ける「多様な移民社会」をより反映させるのが目的と記されている。(c)AFP/Sam Reeves