【11月20日 AFP】地中海中央部、イタリア半島と仏領コルシカ(Corsica)島の間の海域ティレニア海(Tyrrhenian Sea)を航行中の移民救助船「オーシャン・バイキング(Ocean Viking)」船上で、矢印の上に「フランス」と書かれた段ボール箱からのぞく子どもの指。

 フランスは11日、イタリアが入港を拒否していたオーシャン・バイキングが南仏トゥーロン(Toulon)で移民を下船させることを認め、230人が下船した。これに先立ち4人の移民が、救急医療が必要だとしてオーシャン・バイキングからヘリコプターで搬送された。

 フランスが地中海で移民を救助した船に自国への入港を認めたのは今回が初めて。フランスは、国際海事法によれば乗船者が危機的な状況にあったオーシャン・バイキングは最も近くにあったイタリアの港への入港が許可されるべきだったとの見解を示した。

 一方のイタリアは、今年これまでにイタリアに上陸した8万8000人以上の移民のうち、保護を求めて他の欧州連合(EU)加盟国に移動したのはわずか164人だとして、他のEU加盟国も移民の受け入れを増やし、欧州は最優先課題として移民問題に取り組むべきだと主張した。

 イタリア、キプロス、ギリシャ、マルタは12日、加盟国の任意とされているEUの流入移民管理の在り方を批判。イタリアに到着した移民をEUの全加盟国に強制的に割り振るよう欧州委員会(European Commission)に呼び掛けた。

 今回トゥーロンで下船した移民のうち、フランスとドイツがそれぞれ3分の1程度を引き受け、残る3分の1についてはブルガリア、クロアチア、フィンランド、アイルランド、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、ノルウェー、ポルトガル、ルーマニアが引き受けに同意している。

 国際移住機関(IOM)によると、今年欧州を目指して地中海で死亡・行方不明になった移民は1891人になった。(c)AFP