【4月25日 AFP】インドの野生動物当局はこのほど、南アフリカからもらい受けたチーター1頭が死んだと明らかにした。先月にも、アフリカから移送されたチーターが1頭死んでいる。

 インドにはかつて、アジアチーターが生息していたが、1947年を最後に目撃されなくなり、52年に絶滅が宣言された。2020年に最高裁判所がチーターの再導入を認める判断を下して以来、南アフリカから12頭、ナミビアから8頭が移送された。

 今回死んだのは中部マディヤプラデシュ(Madhya Pradesh)州クノ国立公園(Kuno National Park)にいた雄のチーター、ウダイ。野生動物当局は23日の発表で、囲いの中で具合が悪そうにしているところを発見され、治療のため鎮静剤が投与されたが、その日のうちに死んだとしている。

 国立トラ保護局(NTCA)のアミット・マリックはAFPの取材に対し、死因特定に向けた調査が進められていると述べた。

 インドでは今年3月にも、ナミビアから移送されたチーターのサーシャが腎臓の疾患で死んでいる。

 チーターの再導入はナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相の肝煎りプロジェクト。向こう10年で約100頭のチーターの導入を目指している。

 専門家らは、インドではヒョウの個体数が非常に多いことから、チーターがインドでの環境に順応できず、獲物獲得に苦労している可能性を指摘している。

 ナミビアで活動する独ライプニッツ動物園野生動物研究所(IZW)のチーター研究プロジェクト(Cheetah Research Project)チームは、インドへの再導入は「空間生態学」を無視していると指摘。クノ国立公園の面積は、チーターの通常の生息に必要な広さに全く足りていないと述べていた。(c)AFP