【4月14日 CNS】世界が認める古来からの文明国として、中国は世界でも有数な貴重な文化財資源を有している。全国76万か所以上の移動不能な文化財や、1億点(セット)以上の所蔵の文化財をどのように保護するのだろうか?中国の文化財技能人材は何をもって未来に向かうのだろうか?

 3月25日、「全国文化財業界職業技能大会」決勝戦が、山西省(Shanxi)太原市(Taiyuan)で開催された。この大会は「これまで文化財業界における参加した範囲が最も広く、参加者が最も多い職業技能大会」と言われ、中国の27の省(自治区、直轄市)から219人の文化財技能人材が参加した。

 中国は文化財資源の大国だが、豊富な文化財資源に相応しく、煩雑な文化財保護任務と調和した、高品質な文化財事業の発展要件に適応する人材育成体系を確立してはいなかった。「修復を待つ文化財がたくさんあるが、それに相応しい技術人材は遠く及ばず不足している」と、中国国家文物局科学技術教育司の羅静(Luo Jing)司長は語っている。

 中国国家文物局は、2018年と2021年にそれぞれ2回の「全国文化財業界職業技能大会」を開催し、文化財業界の従業員にスキルを発揮し、技術を競い合うプラットフォームを提供している。同大会は、文化財技能人材の育成にとって重要な手段となっている。

 文化財修復技術者の職業制度構築を強化するために、中国政府は2021年に、『文化財・博物館の公的機関の人事管理強化に関する指導意見』を発表し、『文化財修復技術者国家職業技能基準』を公布した。これらの取り組みは、文化財修復、文化財修復人材の育成などに重要な意義を持っている。

 従来と比較し、今年の大会はよりハイレベルで、より大規模に行われた。3回目の審判員として参加した中国の古陶磁器修復専門家の蒋道銀(Jiang Daoyin)さんは、大会に感銘を受けている。「全体的に、今回の参加者は前の2回よりも良い成績を収めた」と、彼は言い、大会を通じ、優秀な人材を前線に押し上げることを期待している。

 壁画・泥塑・文化財修復技術者部門の審判員、中国の壁画修復専門家の樊再軒(Fan Zaixuan)さんは、多くの若者が参加していることを喜んでいる。「技術の競争だけでなく、社会全体に文化財修復に対する高い関心と重視を呼びかけ、多くの若者にこの仕事を好きになってもらうようにすることが大会の目的の一つだ」と、彼は語っている。

「72年間、私はただ一つのことをしてきた」「歴史を修復」し、「文化財に命を吹き込む」。大会の開会式では、プロモーションビデオが特別に放映された。たった4分の内容の中に、中国の数世代の文化財修復専門家たちが、職業道徳と勤労精神で文化財をその手で守り、心をこめて文化財を造り上げてきた姿が凝縮されている。彼らは両手で時間を取り戻し、数多くの破損した文化財に新たな生命を与えている。(c)CNS/JCM/AFPBB News