【1月15日 AFP】南米ガイアナのジャングルの奥深くに、何の変哲もない標識とゲートが立っている。「人民寺院(People's Temple)へようこそ」。ここにはかつて、カルト団体が造り、大人と子ども計914人が集団自殺したコミューン、ジョーンズタウン(Jonestown)があった。

 米国人の教祖ジム・ジョーンズ(Jim Jones)は信者に自殺を強要し、親には子どもに毒を飲ませるよう命じた。逃げようとした信者も撃たれるか、毒を飲まされた。事件は、カルト指導者の信者を操る力を浮き彫りにした。

 現在も近くの村に住むフィッツ・デュークさんは、事件当時31歳だった。ジョーンズと貧困層のアフリカ系米国人の信者はジャングルを切り開き、人里離れた約1500ヘクタールの土地に社会主義的なユートピアを建設するために懸命に働いていたと振り返る。

「彼らは優れた農法を知っていた」とし、地元の村人も手伝うことが多かったと付け加えた。

「家畜もたくさん飼っていて、自給自足に近い状態だった。私たちもよく遊びに行った。上手なバンドもいたし、楽器もいろいろあった」

 しかしジョーンズは、人種差別も性差別もない、地上の楽園とうたっていたコミューンで、夜明けから夕暮れまで週6日労働を信者に強要していた。脱退者は麻薬の使用や飢餓、性的虐待などを訴えた。

「大通りから直接見える巨大な塔から、常に誰かが双眼鏡で監視していた」とデュークさんは言う。

 また「警察より大きな銃」を持った警備員がパトカーを止め、「ここはガイアナではない。ジョーンズタウンだ」と言っていたとも話す。