【6月6日 AFP】マレーシア・クアラルンプールの駐車場の片隅。数千匹のハナバチの群れに素手を入れ、そっと籐(とう)のかごの中へと誘導する。

 オーイ・レン・チェ(Ooi Leng Chye)さん(48)は、各地の街中で見つかったハナバチの群れとその巣を保護するグループで活動している。ハナバチを害虫とみなす人々によって殺されるのを防ぐのが目的だ。

 ハナバチは主要作物の花粉媒介者として、生態系の中で重要な役割を担っている。だが生息地の消失、環境汚染、殺虫剤の使用などの結果、その数は急速に減っている。

 国連(UN)によると、授粉を担う無脊椎動物の40%が地球規模で絶滅の恐れにある。とりわけ危機にあるのが、ハチやチョウだ。

 マレーシアの環境保護活動家らは、ハチの生息数の減少を食い止めようと「マイ・ビー・セイビアー・アソシエーション(My Bee Savior Association)」を設立した。

 屋根の下や木のそばにハチの巣があるとの情報を受けると、ボランティアが現場に駆け付ける。オーイさんも本業はソフトウエア開発だ。

 ボランティアは注意深く巣を取り外し、別の場所に移動する。オーイさんが最近出動したのはクアラルンプールのマンションで、管理人からハチの巣があるようだとの連絡を受けていた。

 オーイさんと2人のボランティアは壁の後ろの空間に、ハチの巣6個と無数のハナバチを発見した。巣は数か月はそこにあったと思われた。

 袖の短いシャツにズボン、サンダルといった格好で、素手でハチをかごにすくい入れるオーイさん。「怖くはありません」と至ってリラックスしている。「ハチが攻撃するのは自衛のためだけです。理由もなく襲ったりしません。彼らの習性を知っていれば大丈夫です」