■「行方不明の物質」

 この最新の研究結果は、別の理由でも極めて興味深いものとなった。銀河同士を隔てる広大な空間にある「何か」を突き止めるための一助となる可能性があり、「行方不明の物質」問題の解決に一歩近づくことができるかもしれないのだ。

 理論計算では、恒星の中にあることが確認できる原子の数は、宇宙に存在するはずの全原子数の半分しかないことが示唆されている。天文学者らはこの結果に基づき、残り半分の行方不明の物質が銀河間空間にある電離ガスに含まれているに違いないとする理論を提唱した。

 プリズムを通った光がさまざまな色に分かれるように、電波は物質に入射すると分散する。FRBの場合、周波数が高い電波ほど先に到着し、周波数が低い電波ほど遅れて到着する。

 FRB180924で観測された電波の分散パターンは、天文学者らが理論から予想したパターンと一致した。これは、銀河間空間には予想される量の電離ガスが実際に含まれていることを意味する。

 研究チームはこれをさらに前進させ、深宇宙の詳細な地図を作製するために、さらに数千個のFRBを特定し、その分散パターンを調査したいと考えている。

 論文の共同執筆者で、豪スウィンバーン工科大学(Swinburne University of Technology)のライアン・シャノン(Ryan Shannon)氏は、「宇宙のクモの巣(銀河間物質のフィラメント構造)のCTスキャンを撮るようなものだ」と話した。(c)AFP/Issam AHMED