【6月28日 AFP】オーストラリア主導の国際天文学者チームがこのほど、宇宙のかなたで瞬間的に強力な電波が爆発的に放射される1回限りのバースト現象について、その正確な発生源を初めて特定した。深宇宙の地図作製への道が開ける可能性もあるという。この天文学上の画期的発見に科学者らは称賛の声を上げている。

 研究チームは今回、数十億光年先にある巨大銀河がバースト現象の発生源となっていることを突き止めた。また、この銀河をめぐっては、謎の高速電波バースト(FRB)の発生に関してこれまでに得られた科学的知識を覆す性質を持っているともされた。

 米カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)の天文学者ケーシー・ロー(Casey Law)氏は、AFPの取材に対し「この研究結果は天文学界内で大いに待ち望まれていたものだ」と語った。ロー氏は今回の研究には参加していない。

 27日の米科学誌サイエンス(Science)で発表された今回の研究結果は、2007年のFRBの発見以来の最も重要な成果の一つとなった。FRBのフラッシュはほんの一瞬の現象だが、1000分の1秒間に放射するエネルギー量は太陽放射の1万年分に匹敵する。

 電磁スペクトルの長波長側の電磁波において、このような高エネルギーのうねりを引き起こしているものの正体をめぐっては、今なお激しい議論が続いている。だが現在のところ、FRBが遠方の銀河に由来するという点で、科学者らの意見は一致することとなった。

 約10年前に最初のFRBが検出されてからこれまで、世界中の探査観測で85個のFRBが見つかっている。その大半は「1回限り」のものだが、同じ発生源からの「反復FRB」も少数含まれている。