■同性愛者狩り

 首都ソウルを拠点とする人権団体、軍人権センター(Military Human Rights Center)によると、韓国軍は不正行為が疑われる兵士に対する捜査で、非常に干渉的な「魔女狩りのような」手法を使う。2017年の捜査では、軍内の同性愛者を追跡するため、同性愛者とみなした兵士に捜査官の目の前でデートアプリを使うよう強制した。

 また、ある兵士が同性愛者であることを軍のカウンセラーに告白し、カウンセラーがそれを当局に報告したため、現在海軍士官3人が捜査を受けているという。「本人の同意なしに軍のセラピストが兵士の性的指向を暴露したという事実が、韓国軍内の人権状況を物語っている」と、センター代表のリム・テフン(Lim Tae-hoon)氏は指摘する。

 2017年に拘束されたうち12人は、軍の同性間性行為禁止は違憲だとして憲法裁判所に訴えた。この規則は1962年に定められて以来、既に3度、合憲性が問われている。

 こうした状況を批判する国際人権団体も多い。

 アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は、軍の同性間性行為の禁止は「時代遅れで差別的」と評している。また、ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)は、韓国憲法裁へ提出した書面の中で同法について「韓国の人権記録上の汚点」と述べ、撤廃を求めている。

 ヒューマン・ライツ・ウオッチで性的少数者(LGBT)の人権部門責任者を務めるグレーム・リード(Graeme Reid)氏は「成人同士の合意に基づく同性間性交渉を犯罪とすることは、歴史書の中に追いやられるべきだ。韓国社会にふさわしくない」と語った。(c)AFP/Claire LEE