■仲介業者はペテン師?

 AFPではこうした状況について中国サッカー協会(CFA)に取材を申し込んだが、コメントは得られなかった。しかしCFAは2月、無秩序状態になっているサッカー指導者市場に対する一連の規制を発表した。問題の存在を暗に認めた格好だ。

 数か国でグラスルーツサッカーの豊富な指導経験がある米国人のトム・バイヤー(Tom Byer)氏は、不適切な指導者の問題は中国に限らないと指摘する。中国の教育当局の下で働く同氏は、「偽の指導者」に会ったことはないが、そうした存在は想像できるし、中国のサッカー育成界はさまざまな「ペテン」で荒廃しているという。

 関係者数人から指摘があったその一つが、自治体に雇われ、学校で教える外国人指導者を探してくる仲介業者だ。彼らは自治体が払う指導料の半分を懐に入れる。つまり、指導者に渡るのは残りの半分だけだ。こうして大きく目減りした指導料で中国へやって来る指導者の中に、ベテラン指導者や資質の高い指導者はそういない。

 バイヤー氏は、スーパーリーグのトップチームと比較してこう語った。「最近中国が批判にさらされているのは、トップレベルでの高額契約だ。だが、育成レベルでも他の多くの国と同様、その発展と資金について批判すべきポイントはたくさんある」 (c)AFP/Peter STEBBINGS