■誰でも潜り込める

 人口14億人の中国だが、W杯(World Cup)への出場は2002年の1回のみ。グループステージ全敗だった上に、1点も挙げることができなかったが、それでも中国は盛り上がった。

 習政権はユースサッカーに多額を投じているが、謝氏いわくその資金が無駄となっている。一部の学校は、試合もしないで結果だけ捏造(ねつぞう)しているのではないかと、謝氏は疑っている。

 メディアに語ることは許可されていないというあるベテラン指導者は匿名で取材に応じ、「誰でも潜り込める」状態だと表現し、一部の不謹慎な指導者のせいで他の指導者まで汚名を着せられていると嘆いた。

 欧州サッカー連盟(UEFA)のB級ライセンスを持ち、2016年から中国で指導に携わるマリオ・カストロ(Mario Castro)氏は、中国には「偽の指導者、資格のない指導者、知識のない指導者」という三つの大きな問題があると語る。「小さな町のサッカースクールや企業が必要としているのは、たとえ資格やUEFAのライセンスがなくても、外国人の顔なのだ」

「一方、大都市ではパートタイム指導者のための巨大な市場があるが、その大半は、指導者ライセンスも子どもの教育に携わる資格も持っていない。実際、週数時間だけ働いてくれる本物の指導者を見つけるなんて至難の業だ」