以前から、両親が店で忙しく仕事に追われているのを見ていた佳楽君は、学校の宿題を済ませると、こっそり店の外にきては父親の焼餅を作る様子を見ていた。

 パン生地を伸ばし、油を塗ってごまをふり、1枚1枚を釜で焼いていく。焼き上がった焼餅を皿に盛り、客のテーブルまで運ぶ。「お父さんが焼餅を作るのを毎日見ていて、作り方をこっそり習得したよ」。その言葉を聞いた父親の金雷さんは、目を潤ませた。

 佳楽君の作る焼餅は、父親が作るものよりもサイズは小ぶりだが、見た目の色つやが良く香ばしい香りを出していた。そして佳楽君はこの時から正式に店の助手となり、毎日焼餅を焼くようになった。

■1年で8万個以上の焼餅

 父親の金雷さんは、「佳楽は、去年の夏から現在まで毎日1時間以上、店の手伝いをするようになり、昼時には最低100~200個の焼餅を作るんですよ」と話す。平均すると、この12歳の少年は1日で約200~300個、1年で8万個以上の焼餅を店で作っていることになる。

 80年代生まれの申さん夫婦は、以前は出稼ぎなどをして別の仕事をしていたが不景気が影響してうまく行かず、2015年から現在の飲食業を始めた。父親は、息子の焼餅は確かにすごいのだが、将来は別の人生を送って欲しいと望んでいる。

「佳楽は素直だし、学校の成績も悪くない。もうすぐ中学生にもなるので、もう店の手伝いをさせることはないだろう」と話す。現在、申さん夫婦の一番の願いは、2人の子どもが一生懸命勉強し、将来は成功を収めることだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News