【12月24日 CNS】ワンタン店を営む80年代生まれの徐瑞斌(Xu Ruibin)さんが最近、インターネット上で注目されている。「ワンタン店のお兄さん」は空き時間を利用して、竹串からエッフェル塔など2年間で300点以上の工芸品を作り出し、ネットユーザーから「民間の巨匠」と呼ばれるようになり、平凡な日常生活ながら芸術に従事する夢を実現させた。

 スイッチを入れると色とりどりに光る高さ1.3メートルあるエッフェル塔や、「故郷へ帰るバス」とタイトルがつけられたジオラマ模型は、現実世界のような懐かしさすら感じる。2階建て別荘の模型は庭や橋、噴水などジオラマ背景もさることながら、建物の中をよく見ると部屋の中に「モナリザ」の絵画まで飾られているなど、細部にもこだわっている。徐さんの経営するワンタン店に入ると、さまざまな竹細工の工芸作品を随所に見ることができ、小さな店でありながらこれら作品が輝きを添えている。

 徐さんは河南省(Henan)新野(Xinye)生まれ。2004年に妻とともに河北省(Hebei)石家荘(Shijiazhang)に移り住み、ワンタン店を開業した。16年に作品が動画で紹介されたのをきっかけに、インターネットの有名人になった。

「工芸作品の制作はもともと趣味で始めただけで、こんなに成功を収めるとは夢にも思わなかった」。3か月間の独学で精巧な竹細工作品を作るためのさまざまな技術を習得した徐さんは、今ではすっかり制作に夢中になっている。

 店が徐々に閑散となる午後2時、徐さんは厨房内の狭い通路にある作業台で制作を始める。作業台のテーブルには竹串、電動ドリルと丸ノコ、巻尺、ボンドなどがそろっている。電動ドリルを手に取って、ごく細な竹串に注意深く穴を空ける徐さんの姿をみると、あ限られた制作環境ではあるものの、創作に対する情熱には全く影響はないようだ。

 徐さんによると、2か月かけて完成したエッフェル塔の模型は1000本以上、別荘の模型は800本以上の竹串を使用し、かつ模型が美しく見えるための比率をしっかりコントロールしなくてはならず、ミスの許されない極めて複雑な作業なのだという。

 徐さんは、「制作には心配りが必要。入門するのは簡単だけど、実際始めると難しい」としみじみと語る。

 竹細工作品の制作に没頭するようになってから、「時間が足りない」とさえ感じるようだ。ただ、徐さんにとっては、店の運営は家族を養うためのものであって、個人の趣味を最優先することはない。時間が空いてさえすれば、徐さんは作業台の前に座り、店の業務と就寝以外の時間でひたすら竹細工作品の制作を続けている。

 徐さんの妻は、店の人手不足に追われていた時期もあって、以前は夫の趣味について理解も支持もできなかったという。しかし、かたくなに制作し続ける徐さんに、妻も徐々に認めるようになった。

 今後について徐さんは、「自分が心から本当にやりたいと思える趣味を見つけた。これからもずっと続けていきたいし、より多くの、より精巧な作品を作っていきたい」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News