■ビキニへの反発

 セクハラ行為があって以来、職場でスカートの着用をやめ、ロングパンツばかりをはくようになったというファンさん。現在は、指導的な立場にある組合で、セクハラを受けた際の報告の仕方や助けの求め方について同僚たちにレクチャーしている。

 ただ、変革には長い時間が必要だとも話し、「制服やハイヒール、メークと、客室乗務員は魅力的に見える。この業界に対する幻想もあり、人々の認識を変えるのは難しい。でも、それが不品行の言い訳になってはならない」と続けた。

 そして、「人々の態度を変えるには、教育がとても重要。一夜で実現することは困難だし、時間もかかる。だからといって、やらないでいいということにはならない」と述べ、意識改革を行うよう呼び掛けている。

  ファンさんのような乗務員らの不満は、変化を求める声が世界的な規模で上がる中でようやく聞こえ始めた。

 米国に本部を置く客室乗務員組合(Association of Flight Attendants)も昨年、「客室乗務員を物とみなす過去の悪習を捨てる」よう米国の航空各社に求めている。

 そのような流れがある中で、ベトナムの格安航空会社(LCC)ベトジェット(Vietjet)は、就航便の一部にビキニを着た乗務員を配置したり、肌の露出が多いモデルたちが機内でポーズをとっている写真のカレンダーを制作したりしたことで、そのマーケティング戦略が批判を浴びた。

 ベトナム唯一の女性大富豪がオーナーを務める同航空会社は1月、同国サッカーU-23代表チームの搭乗機に露出度の高い衣装の女性モデルらを同乗させた。こうしたやり方についてソーシャルメディア上では批判の声が上がり、ベトジェットは謝罪へと追い込まれた。

 香港を拠点にする航空会社のある従業員は、華やかなイメージの客室乗務員の仕事に多くの女性らが引きつけられている現状があると、AFPの取材に語った。事実、ユーチューブ(YouTube)などの動画共有サイトでは、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ(Dubai)に拠点を置く航空会社エミレーツ航空(Emirates Airline)の客室乗務員がメークの仕方を教える動画が人気を集めている。