【12月26日 AFP】航空会社が打ち出す洗練されたイメージのうちの一つに、身だしなみの整った客室乗務員たちの存在がある。客室乗務員らは、上空で長時間を過ごすライフスタイルにも嫌な顔ひとつせず、常に平常心を保っているように振る舞う。しかし、セクハラ行為に対しては別だ。香港を拠点とする航空会社の客室乗務員らは、問題行為に厳しい態度で臨み始めている。

 AFPの取材に応じた女性乗務員らによると、ハラスメント行為は乗客からだけでなく、同僚からも受けるという。

 問題を解消するために各航空会社は対策を打ち出し、「正しい方向」へと向かおうとしている。しかし、セクハラ告発運動「#MeToo(私も)」が広く認知されるようになった今、その進展具合は十分でないと女性乗務員らは指摘する。

 セクハラを経験したことがきっかけとなって客室乗務員の組合「香港空中服務員職業工会(Cabin Attendants Union of Hong Kong)」に入ったというビーナス・ファン(Venus Fung)さん(29)は、航空会社は従業員らに対し、どのようにハラスメントに対応すれば良いか教えるべきと話す。

 ファンさんが働く航空会社では、研修中にこうした問題が提起されることはなかった。しかし、新人として働き始めた当時、あるパイロットからの嫌がらせ行為を経験し、胸やウエスト、尻を触られ、「良い体をしている」と言われたことがあると、AFPの取材に明かした。

「あの時は、大きな怒りを覚えた。でもパニックや恐ろしさの方が大きかった。何をすれば良いのか、どう反応すれば良いのかもまったくわからなかった。放心状態だった」

 その時の様子をキャビンマネジャーが見ていた。しかし、このマネジャーは助けようともせず、逆に「タイトすぎる」スカートをはいているファンさんに非があるとして、会社に報告すると威圧的な態度で注意されたという。

 ファンさんは、香港をベースに欧州の航空会社で働いているが、報復のリスクがあるとして会社名は公表できないと述べた。