【11月28日 AFP】バスケットボールで優れた才能を持つ3人の息子の父ラバー・ボール(LaVar Ball)氏は、たとえ相手がドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領や米プロバスケットボール(NBA)の伝説的選手マイケル・ジョーダン(Michael Jordan)氏であろうとも、自ら喜んでけんかを売り、一般常識にはいつでも因縁をつけたがる人物だ。無名のバスケ選手だったロンゾ・ボール(Lonzo Ball)、リアンジェロ(LiAngelo Ball)、ラメロ(LaMelo Ball)の三兄弟は、この風変わりな父親のおかげで実力以上に有名人になった。

 今季からNBAのロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)に入団した長男のロンゾに続き、次男のリアンジェロもカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)でNBAの道を目指しており、三男のラメロも高校生プレーヤーとして頭角を現している。

 息子たちが選手として成功している一方で、50歳のボール氏はその大げさな物言いでスポーツサイトやテレビで失笑を買うなど、大きな話題を集める天賦の才能を発揮している。最近は世界で最も影響力を持つ人物との対立を深めており、中国で万引きをはたらいた疑いで逮捕されたリアンジェロを救ったトランプ大統領に感謝することを拒み、同大統領を激怒させた。

 リアンジェロは11月、UCLAのバスケットボールチームが親善試合のために遠征していた中国・杭州(Hangzhou)で、チームメート2人とともに万引きをはたらいた疑いで逮捕された。当初は勾留されていたものの、その後は宿泊ホテルに閉じ込められた。ちょうどアジア歴訪中だったトランプ大統領は、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席に口を利き、3人の釈放と帰国を実現させていた。

 米スポーツ専門チャンネルESPNの番組で、息子の釈放にトランプ大統領が尽力したことについて尋ねられた際、ボール氏は無関心な様子で「誰が?」と聞き返した。これに激怒した米大統領は、ツイッター(Twitter)に「彼らを刑務所に入れたままにしておくべきだった」と投稿した。

 すると、もう誰にも止められないボール氏は、20日に米CNNテレビに出演した際、前言をさらに上塗りする形で再びお礼を拒否すると、出演を利用して自身が経営する「ビッグ・ボーラー・ブランド(Big Baller Brand)」の衣料品をしつこく宣伝。インタビューでは「ビッグ・ボーラーのおかげで、素晴らしい感謝祭の日になるとドナルド・トランプに伝えろ」と話す始末だった。

 トランプ大統領はその翌日のツイッターで、ボクシングのプロモーターとして悪名高いドン・キング(Don King)氏が「落ちぶれたような男」とボール氏を称した後、「恩知らずの愚か者」と攻撃を連発した。破天荒なボール氏と、好き放題にする権力者であるトランプ大統領の闘いは、想定の範囲内だったといえる。ボール氏の話題を知っている者であれば、最近のいざこざについては少しも驚かないであろう。