【1月25日 AFP】今年の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2017)でベテラン選手の復活が目立つ中、その理由は球足の速いコートコンディションにあるのではないかという意見が浮上している。

 ロッド・レーバー・アリーナ(Rod Laver Arena)でプレーしたフェルナンド・ベルダスコ(Fernando Verdasco、スペイン)は「1980年代のインドアカーペット」のようだったと嘆いたが、全選手から不満が出ているわけではない。

 35歳のロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)は熟練された質の高いテニスを披露し準決勝に進出。およそ5年ぶりの四大大会(グランドスラム)優勝へ向け、ビッグチャンスが到来している。

 女子シングルスでは、36歳のヴィーナス・ウィリアムス(Venus Williams、米国)がここまで1セットも落とさない勝ち上がりを見せ、1994年のマルチナ・ナブラチロワ(Martina Navratilova)氏に次ぐ年長での4強入りを決めた。また、35歳の妹セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)も後に続いたことで、今大会は35歳以上の女子選手2人が準決勝に進んだ初めての四大大会(オープン化以降)となった。

 さらに、早咲きの天才で34歳のミリヤナ・ルチッチ(Mirjana Lucic-Baroni、クロアチア)もグランドスラムでは18年ぶりのセミファイナリストになるなど、時間を巻き戻したかのような活躍をしている。

 ここに至るまでには、守備的なプレースタイルのアンディ・マレー(Andy Murray、英国)がサーブアンドボレーを得意とするミーシャ・ズベレフ(Mischa Zverev、ドイツ)に、同大会通算6勝のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が世界117位のデニス・イストミン(Denis Istomin、ウズベキスタン)にそれぞれ敗れる波乱もあった。近年のグランドスラムと比較して、最も予測不可能になっている今大会では、数日後の展開を予想したがる人も少ない。

 故障による6か月の離脱から復活を果たしたフェデラーは、ポイントを速くし、攻撃的なプレーが生きるセンターコートのサーフェスに助けられているかもしれないと口にする。同選手によると、ベテラン選手たちは球足の速いコートで育ったため、素早いボールの動きにも本能的に順応できるのだという。

■「本能でプレーできる」

「2005年以前の世代では、選手たちが速いコートに慣れていた。それ以降は変化があったけど」と話すフェデラーは「スイスでよくプレーしたインドアコートは稲妻のようだったと覚えている。というのも、カーペットというか、こうした光沢のある床のようなものだったんだ」と語った。

 また、ヴィーナスは「コートは遅すぎてもいけないし、速すぎてもいけない。すべてのボールに返ってきてほしくはないでしょ」と主張。ラリーを長引かせることがなく、ウイナーやウイナーであるべきボールが返球されないコートが好きだという。

「あるときにはウイナーが必要。コートに打ち込んでもボールが止まってしまったら、それはテニスじゃない。(ボールは)コート上を突き抜けていくべき」

 今大会の速いサーフェスはまるで自分の庭であるかのような活躍を見せているヴィーナスのこの意見には、フェデラーも同意している。

「彼女にとって、このサーフェスでいいプレーができるのは自然なんだと思う。(展開の速いコートでは)おそらく考えることが減るし、本能でプレーできる」

「それがベテランの非常に得意なこと。なぜなら、速いコンディションでも彼らはいらいらしないからね」

「多分、自分の復帰もそれに助けられていると思う。そこに疑いはないよ」(c)AFP/Talek HARRIS