【5月22日 AFP】イングランドFAカップ(FA Cup 2015-16)は21日、ロンドン(London)のウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)で決勝が行われ、マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)が延長戦の末に2-1でクリスタルパレス(Crystal Palace)に勝利し、最多タイに並ぶ12度目の大会制覇を達成した。

 両チームのFAカップ決勝での顔合わせは、1990年以来16年ぶり。そのときは、ユナイテッドが再試合の末にタイトルを獲得していた。この日も下馬評不利のクリスタルパレスが後半33分にジェイソン・パンチェオン(Jason Puncheon)の得点で先制したものの、そのわずか3分後にフアン・マヌエル・マタ(Juan Manuel Mata)が同点ゴールを決め、90分では決着がつかなかった。

 迎えた延長戦で、ユナイテッドはクリス・スモーリング(Chris Smalling)が退場。それでもPK戦突入が現実味を帯び始めた延長後半5分、交代出場のジェシー・リンガード(Jesse Lingard)がGKがまったく動けない豪快なボレーシュートを突き刺し、クラブに12年ぶりとなるFAカップのトロフィーをもたらすとともに、シーズンを通じてやきもきさせてきたサポーターへ最後に喜びを届けた。

 ユナイテッドのルイス・ファン・ハール(Louis van Gaal)監督は、「クラブ、ファン、そして自分自身のために、このタイトルを取れて非常にうれしい。私はこれで、四つの国でカップ戦を勝ったことになるし、それができる監督はそう多くない」と優勝を喜んだ。

「10人になったし、こちらは火曜の夜も試合(3-1で勝利したボーンマス<AFC Bournemouth>戦)をしていたが、それでも勝利にふさわしかったのはわれわれだと思う。しかし、あれはスーパーゴールだったね」

 殊勲のリンガードはBTスポーツ(BT Sport)に対し、「偶然、ちょうどいいところに落ちてきた。とにかく芯に当てることだけを考えてたら、うまく決まってくれた。サブのメンバーは、常に出る用意をしておかなくちゃいけない。今日はそれがうまくできた」と話した。

 ユナイテッドのFAカップ優勝は2004年以来12年ぶりで、主将のウェイン・ルーニー(Wayne Rooney)とマイケル・キャリック(Michael Carrick)は、国内タイトルで手にしていなかったFAカップの優勝メダルをようやくコレクションに加えた。またクラブは、2014年と2015年に連覇を達成したアーセナル(Arsenal)に優勝回数で並んでいる。

 今回のFAカップ制覇は、クラブにとっては2013年にアレックス・ファーガソン(Alex Ferguson)元監督が勇退して以来、ファン・ハール監督にとってはイングランドに参戦して以来の初タイトルとなる。

 それでも、ユナイテッドは来季の欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2016-17)の出場権獲得を逃しており、これだけではファン・ハール監督が続投を勝ち取る材料としては足りないかもしれない。

 ユナイテッドの来季の欧州の戦いの舞台は、チャンピオンズリーグではなくヨーロッパリーグ(UEFA Europa League 2016-17)となる。またこの結果により、ウェストハム(West Ham)の繰り上げでの同大会出場も決まっている。

 一方、クリスタルパレスを率いるアラン・パーデュー(Alan Pardew)監督は、三度FAカップ決勝で涙をのむ形となった。監督は、選手時代の1990年にはユナイテッドの前に屈し、ウェストハムを率いた2006年には、PK戦の末にリバプール(Liverpool FC)に敗れて優勝を逃している。

 それでも指揮官は、「選手はすべてを出してくれた」と教え子たちをたたえ、「われわれは気持ちと情熱を持ってプレーした。素晴らしいカップ戦決勝だった。マンチェスター・ユナイテッドも気持ちが入っていたし、おかげでスリリングな決勝になった。どちらに転んでもおかしくない試合だった」と話した。(c)AFP