【5月13日 AFP】一昨年のソチ冬季五輪で、メダリスト15人を含む多くのロシア人選手が、組織的ドーピング計画のバックアップを受けていたと、反ドーピング研究所の元所長が証言した。12日、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が報じた。

 恐怖におびえ、ロサンゼルス(Los Angeles)の隠れ家に身をひそめるグリゴリー・ロドチェンコフ(Grigory Rodchenkov)元所長は、同紙に対して、アルコールと3種の禁止薬物を混ぜた運動能力向上薬を選手に投与したことを明かした。

 また、禁止薬物を摂取した選手の100近くの尿検体を、その数か月前に採取されたクリーンなものに差し替えたという。ロドチェンコフ氏は、検体の交換方法について、夜間に研究所の壁に開いた穴から行ったと説明している。

 ニューヨーク・タイムズ紙によれば、この計画に加担した協力者たちは、完全に密封されているはずの検体保存容器を、誰にも気づかれず開けることに成功したという。

 ロドチェンコフ氏は、「ソチ五輪に向けて完璧な準備が行われ、ものすごい装備と知識、経験を兼ね備えていた。スイスの時計に負けないくらい精密な作業だった」と話している。

 2年後にサッカーW杯(2018 World Cup)が開催されるロシアでは、組織的ドーピング事情が暴露され、陸上選手がリオデジャネイロ五輪の出場資格を取り戻せるかの瀬戸際にあるほか、他の競技に関しても調査を行うべきだとの声があがっている。

 ロシアのビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)スポーツ相は、ニューヨーク・タイムズ紙の報道を受けて、国営タス通信(TASS)に「名前があがっているのは非凡なアスリートで、疑惑は道理にかなっていない」とコメントした。

「彼らへの疑いには根拠がない。同記事を検証して、どのような対応を取るか決定する」

(c)AFP