【5月12日 AFP】露反ドーピング機関(RUSADA)の資格停止を受けて、ロシア選手の薬物検査を代行している英国反ドーピング機関(UKAD)に対し、ロシア側が検査の妨害を行っていると英国のテレビ局が報じた。

 ロシアのスポーツ選手については、RUSADAが反ドーピング機関としての機能を停止しているため、英国の機関が世界反ドーピング機関(WADA)からの要請を受けて検査を監督している。

 ところが、英テレビ局スカイニューズ(Sky News)が匿名のUKAD関係筋のコメントとして報じたところによれば、ロシア側の介入で、UKADの検査実施能力に問題が生じているという。

 同関係筋の話では、ロシア当局は、テストを実施する場合はそのことを30日前にロシア側へ通達するよう要求。また、検査員に対する支払いも渋っているという。

 通関での遅れも問題となっている。検査の正確性を期すためには、血液サンプルを48時間以内にロシア国外の研究所へ送り届ける必要があるが、こうした状況のため、UKADは現在、RUSADAが実施していたのと同様に毎月1000件のペースで検査を実施することができなくなっていると、スカイニューズは報じている。

 UKADは、この報道に対するコメントを控えている。WADAは、今週カナダ・モントリオール(Montreal)で開催されている理事会の会合でこの件を話し合い、その後で改めてコメントすると話している。

 一方、妨害を主張するスカイニューズから接触のあったロシアのビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)スポーツ相は、ロシアのスポーツ界の浄化は進んでいると強調した。

「われわれのチームが五輪に出場できない根拠はどこにもない。ロシアではスポーツ選手は大変な人気者で、ほとんどが誠実な人間だ。UKADとは4か月間、ともに仕事をしている。最初の月に実施できた検査は67件、次は150件、そして今は200件だ」

(c)AFP