【3月10日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)のリチャード・パウンド(Richard Pound)元会長は、ロシアの陸上競技界について、資格停止処分を覆す努力をするどころか、「タイタニック(Titanic)号の上で、無意味に椅子を並べ替えている」と苦言を呈した。

 ロシア陸上界では昨年、パウンド氏が責任者を務める独立委員会の調査で国ぐるみによるドーピング違反の証拠が見つかり、同国の選手が国際大会に出場することを禁止された。

 それでも、ロシア側が今年のリオデジャネイロ五輪に参加する望みを持っている一方で、パウンド氏は同国陸上界におけるドーピングの規模について、「否定の壁」が立ちはだかっていると述べている。

 英ロンドン(London)のトゥイッケナム・スタジアム(Twickenham Stadium)で開催されているドーピング問題に関するスポーツ会議に出席しているカナダ国籍で弁護士のパウンド氏は、AFPの取材に対して、「われわれは当時ロシアに対して、陸上競技に関するわれわれの指摘の大部分を気に入らないだろうと話した」と明かした。

「貴国には何らかの資格停止や処分が下されることになる。リオ五輪に参加したいのであれば、これら全ての問題に関して迅速かつ全面的に取り組んでいかなければならない。ロシアの法律の下に、記録が違法であったことが判明したり告発されたりすることを否定する無駄な時間はないとね」

「あらゆる措置を取り、問題の解決を図ることは難しい課題ではあるが、可能であると考えていた」

「多くの問題が立ちはだかっている。最近ではドイツ公共放送連盟(ARD)の番組で、彼らがタイタニック号の上で、無意味に椅子を並べ替えていることが示された」

「つまり、ロシアは旧体制の関係者を新体制に送り込んでおり、これでは国際陸上競技連盟(IAAF)とWADAが問題は解決したと認めるのは非常に難しい」

 パウンド氏はさらに、「ロシアはリオまでに資格を回復できないだろう。IAAFとWADAは、問題が繰り返されたり見て見ぬふりをしたりして、名声を汚すようなリスクを取るつもりはない」

 一方、WADAのクレイグ・リーディー(Craig Reedie)会長も露反ドーピング機関(RUSADA)に対し、同国における反ドーピング体制の構築を手助けする、独立機関の専門家2人を入国させる許可を要請した。(c)AFP/Tom WILLIAMS