■「僕が何をした?」

 WADAの元会長で独立委員会の責任者も務めるリチャード・パウンド(Richard Pound)氏は、ロシアがリオ五輪に参加できるかは、不正行為を迅速に一掃する同国の能力次第だと強調した。

 イシンバエワは、「パウンド氏は、私がシステムの犠牲となったのは遺憾だと言っていました。しかし、私はシステムの犠牲者ではありません。部外者なのです」と反論した。

 一方、男子ハードルの世界王者で、旧ソ連時代に7種競技を席巻したナタリア・シュベンコワ(Natalya Shubenkova)氏の息子であるセルゲイ・シュベンコフ(Sergey Shubenkov)は、ソ連がボイコットしたため1984年のロサンゼルス五輪に出場できなかった母親と、自分が同じような運命をたどることになると嘆いている。

 欧州陸上選手権(European Athletics Championships)を2度制し、8月に行われた第15回世界陸上北京大会(15th IAAF World Championships in Athletics Beijing)ではロシアの国内記録となる12秒98で金メダルを獲得したシュベンコフは、「僕が何をしたというんだ?」と問いかけた。

「これから僕に何ができる?今回の処分が下されないために、僕に何ができたというんだ?」

(c)AFP/Gabrielle Tétrault-Farber