【11月11日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)が、ロシアにおけるドーピング違反と腐敗のまん延を指摘し、同国選手が来年のリオデジャネイロ五輪に出場することを禁ずる勧告を出したことに対し、ロシア側は10日、「根拠のない」指摘として反論するとともに、処分を避けるため、迅速に対応することを約束した。

 ロシアのドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は、「証拠が提示されない限り、いかなる指摘も受け入れがたい。彼らの主張は根拠がないと感じる」との声明を発表した。

 スキャンダルが国境を飛び越え、他競技を巻き込む恐れもある中、WADAは10日、大きな批判を受けた同機関の研究施設「モスクワ研究所」の一時閉鎖を発表。独立委員会が作成した報告書で薬物違反が指摘されてから初めて具体的な措置に乗り出した。

 335ページに及ぶ調査報告書では、ロシアで「国家ぐるみの」薬物違反が行われていたとの主張がなされるなど、陸上界を揺るがす疑惑が数限りなく報告されている。

 これを受けて国際陸上競技連盟(IAAF)のセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長は、ロシア陸上競技連盟(ARAF)に対し、「今週末までに」何らかの説明を行わなければ、出場停止処分を科す可能性もあるとの考えを示した。IAAFは、13日にモナコで対応を協議する。

 ロシア政府がすぐさま国家ぐるみのドーピングを否定した一方、ARAFはコー会長に対して、「ごく近い将来に」IAAFと連絡を取り、ロシア連盟の反ドーピングプログラム、そして報告書の「調査結果および結論への対応」のあらましを示すと約束した。

 2012年のロンドン五輪では、メダル獲得数4位だったロシアだが、WADAの会見を受けて、2016年のリオ五輪では同国選手の出場を禁止すべきだとの声が各所で高まっている。

 英国陸上競技連盟(UKA)のエド・ワーナー(Ed Warner)会長は、英国放送協会(BBC)のBBCラジオ4(BBC Radio 4)の番組で、「コー会長は…(IAAFの)評議員会を招集して、ロシアの処分を検討すると言っている。場合によっては出場停止もあるかもしれない。私としては、こう強く訴えたい。絶対にそうしなければならないと」と発言している。