【10月11日 AFP】欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)は10日、各地で予選が行われ、グループBのウェールズはボスニア・ヘルツェゴビナに0-2で敗れたが、グループ2位以内が確定し本大会出場が決まった。

 クリス・コールマン(Chris Coleman)監督率いるウェールズは、残り2試合で勝ち点1を獲得すれば、1958年のW杯スウェーデン大会以来の主要国際大会出場を自力で決めることができた。

 敵地での試合でウェールズは、ボスニア・ヘルツェゴビナのミラン・ドュリッチ(Milan Djuric)とヴェダド・イビシェヴィッチ(Vedad Ibisevic)に得点を許し、今予選で初黒星を喫したが、同日の試合で組3位だったイスラエルがキプロスに敗れたことにより、最終戦を待たずしてフランス行きが決まった。

 コールマン監督は、「気持ちをうまく伝えることができない。夢のようだ。今夜の試合は予選で初めて少し慌てていたが、こういう状況なだけにそれも理解できる。最高だよ。われわれ全員がこのことを夢見ていた。実現したんだ」と語っている。

 惨めな失敗や、あと一歩のところで切符を逃すことが続いた数十年を経て、ウェールズはついに誇りを取り戻した。

 ジョン・チャールズ(John Charles)氏やアイヴァー・オールチャーチ(Ivor Allchurch)氏がチームをけん引してW杯で8強入りした時代を最後に成功に飢えていた各世代のファンにとっては、ついに予選突破によって屈辱が晴らされた。

 最後にウェールズが国際舞台に立ったのは、ジェームズ・ボンド(James Bond)の小説が初めて出版され、冷戦の危機が高まり、映画『南太平洋(South Pacific)』や『めまい(Vertigo)』が大ヒットした年で、その11年後に人類が月面を歩いた。

 ライアン・ギグス(Ryan Giggs)氏、イアン・ラッシュ(Ian Rush)氏、マーク・ヒューズ(Mark Hughes)氏、ネヴィル・サウスオール(Neville Southall)氏といったウェールズのレジェンドたちも主要国際大会への出場はかなわなかったが、ギャレス・ベイル(Gareth Bale)に導かれたチームは、大舞台への復帰というおとぎ話のような物語を完結させた。

 ベイルは、「人生最高の負けだ!難しい試合だったが、われわれはやり遂げた。とてもうれしいよ」と語っている。

「キャリアでもトップクラスの瞬間だ。ここで止まるわけではない。フランスでやらなければならない仕事がある」

 4年前に前監督のガリー・スピード(Gary Speed)氏が自ら命を絶ち、最悪の状況で指揮官就任を引き受けたコールマン監督は、就任直後に困難に直面し、辞任は秒読みとみられていたが、今回の成功は指揮官個人にとっても大きな勝利となった。(c)AFP」