■「はじめの一歩」

 とりわけ建設業における労働者の給与未払い問題は、カタールで大きな問題になっていた。

 昨年11月には、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)が、カタール側の労働環境改善の姿勢は「まったくもって不十分」だとして当局を非難している。

 今年に入ってからは、労働条件の改善が急務だとして、ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights WatchHRW)が苦言を呈していた。

 HRWのニコラス・マギーハン(Nicholas McGeehan)研究員は、AFPに対し「適切に施行されれば、前進と呼べるだろう」とコメント。カタールの取り組みに、一定の評価を与えた。

 マギーハン氏は、この改革が建設現場の作業員だけでなく、カタール経済を支える「相当数の労働者」に影響するだろうとしている。

 アムネスティ・インターナショナルのムスタファ・カドリ(Mustafa Qadri)氏は、新たな法制定を「歓迎されるべき進歩」と評したが、制度を適切に導入するだけでなく、さらなる改革を推し進めるよう念押しした。

「これは改革のはじめの一歩。決して終着点ではありません」