【9月13日 AFP】ビール大国ドイツの首都ベルリン(Berlin)で、大手ブランドの画一的な味に対抗して、風味豊かな地ビールを生産する小さな醸造所が次々と誕生している。若手のビール醸造家たちは、ビール造りの基本に立ち戻り、多様性に富んだドイツとベルリンのビール文化を復活させることを目指している。

 ベルリンには100年前、95の醸造所があった。しかし、第二次世界大戦の戦火を逃れた19世紀のレンガ造りの建物は、カルチャーセンターやデザイン事務所、倉庫、高級アパートなどに改造され、界隈からはホップの香りが消え失せて久しかった。

 ドイツ人の年間ビール消費量は、業界調べによると1人当たり約106リットル(ジョッキ186杯相当)で、チェコとオーストリアに次ぐ世界3位。だが、国内市場は大手メーカー製ビールが支配している。ベルリンの主要ブランドは全て、国内40ブランドを抱える食品大手エトカー(Oetker)傘下のラーデベルガー・グループ(Radeberger Group)の工場で生産されている。

 こうした中、ベルリンでは米国から火が付いた「クラフト・ビール」ブームに乗り、大手メーカーに対抗して「ミニ醸造所(Mikrobrauereien)」「近所の醸造所(Kiezbrauereien)」を立ち上げる「琥珀(こはく)色の革命」が広がっている。

「とても活気に満ち、急成長している市場だ」と話すマルク・ヒンツ(Mark Hinz)氏(44)は今年、クラブが集中する市内フリードリヒスハイン(Friedrichshain)地区で、15ブランドが参加する「ベルリン・クラフトビール・フェスティバル(Berlin Craft Bier Fest)」を初開催した。

 ヒンツ氏によれば、ドイツの人々は「スーパーで売っているのとは一味違う、バラエティーに富んだコクのあるビールを発見するのを楽しんでいる」という。