【1月18日 AFP】独ベルリン(Brerlin)近郊の洒落た街にある地ビール醸造所のトーステン・ショッペ(Thorsten Schoppe)さんは、銅製の大きなたるに粒状に固めたホップを投入する。ショッペさんのようにドイツ産の新たな原料を使って、非伝統的なビールを作る職人が今、ドイツで増えている。

「原料は4つだけで、新しい原料はこのうちの1つ。どれも重要だ」とショッペさんは話す。沸騰した水と麦芽(モルト)から、ほのかに酸っぱい香りが漂ってくる。

 ショッペさんのような小規模醸造者は、ドイツで16世紀にできた原料を限定する「ビール純粋令」を守りながらも、オレンジやグレープフルーツ、ピーチなどの風味を加えるために「フレーバーホップ」を使うようになっている。

 ショッペさんは最近まで、小規模の地ビール醸造所がニッチ市場を確立している米国からホップを取り寄せていた。ドイツでも今年、ホップ生産者の間で需要増加のチャンスを生かそうとする動きがみられ、初めて商業規模で新たに開発されたフレーバーホップが収穫された。

 ショッペさんはダブル・インディア・ペールエールにシトラスのアロマを加えたビールを生み出した。「原料はすべて天然のものだと言うと、何かフレーバーを添加したに決まってると信じない人もいる」とショッペさんは話す。

■米国産ホップとの掛け合わせ

 ホップは元々、ビールに苦味を加えるためのものだった。ホップ生産者のアントン・ルッツ(Anton Lutz)さんは06年に新種の開発を始めた。

 ルッツさんは、ミュンヘン(Munich)の北60キロにある小さな村ヒュール(Huell)のホップ研究所で、広く使用されている米国産ホップ「カスケード」の雌花のめしべに、ドイツの伝統的なホップの雄花の花粉を受粉させた。