■タソッティの肘打ちでエンリケが鼻骨折

 1994年のW杯米国大会準々決勝では、イタリアのマウロ・タソッティ(Mauro Tassotti)がスペインのルイス・エンリケ(Luis Enrique)の顔面に肘打ちを食らわせ、鼻を骨折させた。エンリケはプレーを続行できず、試合もイタリアが2-1で勝利した。

 主審はこの場面を見ていなかったが、テレビの映像は真実を映し出しており、タソッティにはその後、8試合の出場停止処分を科された。

■悪役から英雄となったパオロ・ロッシ

 パオロ・ロッシ(Paolo Rossi)は、1980年に八百長容疑で科されていた3年間の出場停止処分が2年に軽減されたことで、1982年W杯スペイン大会に出場するイタリア代表のメンバーに選出された。

 ロッシは一貫して無実を主張しており、パスポート没収などの自身の扱いに対して怒りを示していた。

 そして迎えたスペイン大会で、ロッシは1次リーグで精彩を欠いたものの、ブラジルとの準々決勝ではハットトリックを達成し、最終的には合計6得点を記録した。

 それは品行の悪い息子のリハビリが完了した瞬間だった。