【3月31日 Peopleʼs Daily】中国・甘粛省(Gansu)の「甘粛国有農墾飲馬農場」の農地では、センサーが土壌の湿度を観察し、小型気象観測所が光と風を追跡している。

 農場の鄒常生(Zou Changsheng)プロジェクト部長の説明によると、同農場の2024年のヒマワリの収穫量が1ムー当たり280キロを超え、前年比15%増加した。またスマートかんがいの採用で、確実に豊作が得られ、1ムー当たりの水消費量も650立方メートルから300立方メートルに削減された。

 この農場のかんがい用水は疏勒(Shule)川から供給されている。祁連山(Qilianshan)から流れ出て砂漠を潤しているこの河川は、酒泉市(Jiuquan)・玉門市(Yumen)および瓜州県(Guazhou)の22の郷鎮ならびに甘粛農墾飲馬農場など6か所の農場の134万4200ムー(約8万9613ヘクタール)の農地にかんがい用水を供給している。

 内陸河川である疏勒川の流域の年間降水量は70ミリにも満たないが、年間蒸発量の方は2800ミリにも達する。

 それでは、水不足環境にある疏勒川は、かんがい用水を確保しながら、どのようにして水を確保しているのだろうか。

 これについて「甘粛省疏勒川流域水資源利用センター」の計画・企画処の張発榮(Zhang Farong)処長は「疏勒川をコンピュータ上に再現した」と答えた。

 地理情報システム、ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)などの技術を用いて、河道(河川敷)、水路、貯水池、水門などを実際と同じ比率で再現するモデルを構築し、疏勒川の「デジタルツイン」を作成した。

「大規模モデル演算」に従って水資源の配分が常に最適化される。水門の開閉は手動から自動制御に変更され、正確な開閉と必要に応じた放水が可能になった。これと同時に、高度な標準の農地開発が進められている。水と肥料の統合技術を使った点滴かんがいや精密な施肥によって、労働力と水の節約が実現した。

 データ、アルゴリズム、演算能力が融合して力を発揮し、疏勒川のかんがい地域は着実に節水型のかんがい地域へと変貌している。

 疏勒川流域の節水農業のためのデジタル技術強化の取り組みは、中国のデジタルツイン水利システムの構築の加速化の縮図である。

 中国水利部「水文情報予報センター」の孫春鵬(Sun Chungpeng)センター長は「簡単に言えば、デジタルツイン水利とは、人工知能、5G、大規模モデルなどのテクノロジーを活用して、現実世界の自然の水循環システムや水利プロジェクトをインターネット上に『移動』させ、仮想オブジェクトと実物オブジェクトとの間のシミュレーションを可能にした技術だ。それによって正確な予測、早期警報、迅速なリハーサル、対応計画の策定を可能になる」と説明する。

 近年、中国の水利部門は先行して94のデジタルツイン水利建設の任務を完了している。デジタルツイン河川流域建設の分野では「長江(揚子江、Yangtze River)流域の全面的な水監視システムの建設プロジェクト」が着工され、デジタルツイン長江のプロトタイプの制作が加速している。

「デジタルツイン黄河」の構築は秩序ある形で進められており「プロトタイプ黄河」「モデル黄河」「デジタルツイン黄河」が密接に連携している。

 デジタルツイン水利網の分野では「国家基幹デジタルツイン水利網建設に関する枠組みプラン」の編成が完了し、「デジタルツイン南水北調プロジェクト」の第1段階の初期作業が終了している。10の省レベルのパイロット地域の「デジタルツイン水利網」でその応用の成果が得られ、市および県レベルの「デジタルツイン水利網」の構築も積極的に推進されている。

 デジタルツイン大型プロジェクトでは、湖北省(Hubei)の「三峡ダム」と「丹江口(Danjiangkou)ダム」、河南省(Henan)の「小浪底(Xiaolangdi)ダム」と「岳城(Yuecheng)ダム」のデジタルツインが、継続的に最適化されている。

 23年から25年にかけて、49の「デジタルツインかんがい区」の建設が先行試験として開始され、25年までに新たに建設される大規模および重点中型水利プロジェクトで、情報インフラシステム、デジタルツインプラットフォーム、業務応用システムの建設が全面的に実施される。

「デジタルツイン水利システム」は、河川や湖沼の管理をより精密にする。国家水利部は、全国の主要河川・湖沼の「生態流量モニタリング・早期警戒プラットフォーム」を構築し、283の主要河川・湖沼の生態流量区間の水位や流量などのモニタリング情報を収集し、165の主要河川・湖沼の235の生態流量制御区間と65の水量配分区間をリアルタイムでモニタリングし、早期警戒できるようになっている。

 また「全国取水管理プラットフォーム」が構築され、許可量超過、規制量超過、使用量無計測などの違反行為を動的に監視している。

 現在までに、全国で13万1000か所のオンラインモニタリングポイントと55万1500か所の非オンラインモニタリングポイントが設置されている。

「デジタルツイン水利システム」により、水利プロジェクトの建設と管理が、より科学的に行われる。「水利プロジェクト建設管理システム」には、水利業界の4万以上の企業、107万人以上の従業員、42万以上の工事業績と信用評価情報が集約されている。

「水利プロジェクト運営管理情報システム」では、水利、エネルギー、交通など9つの業種における9万か所以上の貯水池の電子アーカイブが共有されている。

 また「農村水利・水力発電情報管理システム」では、52万か所の集中給水プロジェクト、4万2000か所の小規模水力発電所、7326か所の中・大規模かんがい区の基礎情報と運営情報の毎年更新が実現し、1日平均アクセス数が延べ3000件以上に上っている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews