【3月5日 AFP】香港の複合企業CKハチソン・ホールディングスは4日、パナマ運河の2港の運営権を米投資会社ブラックロック率いる連合体に売却すると発表した。運河をめぐっては、ドナルド・トランプ米大統領が奪還を宣言しており、香港を代表する複合企業が圧力に屈したとみられている。

トランプ氏は、CKハチソンが運営する2つの港が運河の両端に位置していることから、中国が太平洋と大西洋を結ぶ戦略的な水路を支配していることになると主張し、武力を行使してでも運河を取り戻すと繰り返し警告していた。

パナマとしては、米国のコンテナ輸送の40%を担う運河を中国が事実上支配しているとのトランプ氏の主張を否定する一方で、一連の対応措置を講じてきた。先月には、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」からの離脱を表明した。

米シンクタンク、ウィルソンセンターの中南米担当ディレクター、ベンジャミン・ゲダン氏はAFPに、港湾運営権の売却決定について「(パナマ政府が)CKハチソンの権益を取り消すことなく、外交危機から脱出する手段を提供するものであり、パナマの投資環境を一段と悪化させることになるだろう」と指摘した。

パナマ政府は、CKハチソンの権益売却には関与していないとし、あくまで「民間企業間の取引」である点を強調している。

CKハチソンの共同マネジングディレクター、フランク・シクスト氏も、取引は「純粋に商業ベースで行われ、最近のパナマの港をめぐる政治的な報道とは全く関係がない」としている。

ただ専門家は、売却によって米国に次ぐ2番手の運河の利用者である中国の影響力が減じることになるため、トランプ政権から強い圧力を受けていたパナマのホセ・ラウル・ムリノ大統領にとっては、安堵(あんど)させる要因になるとの見方を示している。

パナマの政治学者サブリナ・バカル氏はAFPに「トランプ時代においては、ビジネスが新たな地政学だ」と語った。(c)AFP