【2月8日 CGTN Japanese】中国発の人工知能(AI)モデルであるディープシーク(DeepSeek)は、競争相手である米国企業の製品に匹敵する性能をより低コストで実現して、しかもオープンソースであることで、いま世界で注目を集めています。欧州の主要メディアは次々に、中国企業の予想外の追い越しは米国の包囲政策の失敗を浮き彫りにし、欧州が奮起して追い上げる道を指し示しているとする論評を発表しています。

 多くの地方新聞を発行するドイツの大手メディアグループRNDはウェブサイトで、「ディープシークへの批判も先行した人工知能への評価も同様に行き過ぎている」と題した論評を発表し、「中国のある小さな企業が開発したAIモデルが、老舗企業の時価総額を数千億ドル蒸発させた」と指摘しました。論評では、バイデン前大統領は輸出規制を通じて米国の中国に対する優位を維持しようとしていることも、トランプ氏は「スターゲート」というAIのインフラ関連の合弁企業の設立を発表したことも、中国に対する優位を維持するためだと指摘しています。しかし、今や創業2年の中国の新興企業が明らかに米国の足並みに追いつき、しかもはるかに低いコストでそれを実現していると述べています。そのうえで、「これは本当に中国からの『あいさつ』だ。現在、この純粋な中国製AIモデルは世界中の何千万台ものスマートフォンやコンピューターで稼働しており、そのオープンソースの特性から、無数の他のアプリケーションの基盤にもなると見られる」とも評しています。

 ドイツを代表するビジネス誌の「ビルトシャフツボッヘ(経済週報)」は、「ディープシークは中国のテクノロジー大手によるものではなく、小企業によるものだ。しかし往々にして、小さなチームは最も重要なことに集中せねばならないため、より柔軟で効率的になる。そして、米国の制裁は強力な刺激として働くかもしれない。逆境にある人は、より多くの努力をものともせず、より長く、より懸命に働くものだ」と指摘しました。

 スイスの主要日刊紙である『ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥンク』は「中国のAIは欧州に重要な強みをもたらす可能性がある」と題した論評を掲載し、「オープンソースである中国で作られたディープシークは(米国企業の)オープンAIの有料AIモデルに匹敵する性能を低コストで実現した。このことは、欧州人も同様に比較的弱い計算力でAI分野の追い越しを実現する後押しになるだろう。ディープシークは欧州の研究者と企業がAI分野で真の進歩を遂げるための新たな機会を提供している。今こそこのチャンスをつかむ時だ」と伝えました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News