【4月16日 AFP】国際ブドウ・ワイン機構(OIV)は15日、2024年の世界のワイン消費量が63年ぶりの低水準に落ち込んだとする報告書を発表し、加えて、米国による関税措置がワイン業界に「新たな爆弾」として影響を及ぼす恐れがあると警鐘を鳴らした。

各国政府の統計を集計したOIVのデータによると、2024年のワイン消費量は前年比3.3%減の2億1420万ヘクトリットルで、1961年(2億1360万ヘクトリットル)以来の水準となった。

生産量も過去数十年で最低となり、2023年は前年比4.8%減の2億2580万ヘクトリットルを記録した。

OIVの統計責任者ジョルジオ・デルグロッソ氏は、ワイン消費の減少要因として、健康志向の高まりや経済的な圧力を挙げている。

報告によれば、現在のワイン1本あたりの平均価格は2019〜2020年と比べて約30%上昇した一方、全体の消費量は同期間で12%減少。世界最大のワイン市場である米国の2024年の消費量は、前年比5.8%減の3330万ヘクトリットルだった。

デルグロッソ氏はまた、ドナルド・トランプ米大統領が命じた関税措置が現在は一時停止されているものの、今後ワイン業界にとって「新たな爆弾」となりかねないとの見方を示している。

世界のワイン販売量の約半分を占める欧州では、昨年の消費量が前年比2.8%減少。主要生産国のフランスも3.6%減となった。一方で、スペインとポルトガルは数少ない消費増加国となった。

生産量の減少には、過剰な降水や干ばつなど、異常気象が影響しているとされる。

世界最大のワイン生産国イタリアの2023年の生産量は4400万ヘクトリットル。フランスは前年比23%減の3610万ヘクトリットルで、1957年以来の低水準に。スペインは3100万ヘクトリットル、高温の影響を受けた米国では前年比17.2%減の2110万ヘクトリットルだった。

OIVは、今後ワイン消費が再び増加に転じるかどうかについては明言を避けている。

こうした状況について、フランスのワイン専門チェーン「ニコラ」は、消費減には「世代間ギャップ」があると分析。「今や祝いの場や楽しい雰囲気でワインを飲むことは少なく、若い世代の消費量は親世代より少ない」とAFPに語った。

その一方で、「量より質」を重視する傾向も強まっており、「上質なワインに対しては、より多くを支払ってもよいと考える人が増えている」と述べている。(c)AFP