【1月29日 AFP】英国で、生身の教師不在で人工知能(AI)によって学習指導を行う初の試みが行われている。専門家は「異質な存在」であるAIを教育に導入する政府の取り組みについて、潜在的な利点とリスクを示していると指摘している。

ロンドン中心部にある私立学校デービッド・ゲーム・カレッジでは、16歳の生徒が受ける義務教育修了時の全国統一試験(GCSE)の主要科目をAIプラットフォームで指導するシステムが6か月近く前から試験的に導入されている。

共同校長のジョン・ダルトン氏は「AIによって授業も教育も変わっていく。これは間違いないし、AIがすたれることもない」と述べ、「速やかに採用」するべきだと主張した。

同校ではAIシステムが生徒の教材への反応を「モニタリング」し、「学習習慣に関する情報を学校側にフィードバック」するために活用されている。

キア・スターマー首相は今月、英国を「AI超大国」にする方針を表明。

AIは授業計画の立案や添削にも役立ち得るとの考えに基づき、政府主導の下で、ナショナル・カリキュラムに沿ったAIティーチングアシスタント「Aila」が開発された。

デービッド・ゲーム・カレッジで教師の代わりに用意されているのは、生身の「学習コーチ」だ。教員資格はあるが、必ずしも対象科目の内容を把握しているわけではなく、AIシステムを使って生徒を指導する他、ディベートや金融リテラシーなどのソフトスキルも指導する。

試験的に導入されているこのプログラムには現在7人の生徒が参加。予定ではコーチ1人が配置される。

プログラムの導入については「思い切った決断」が必要だったとダルトン氏は認めた。

生物教師でもあるダルトン氏は、AIプラットフォームを使えば「平均的な教師よりはるかに高い精度で」生徒の知識を評価し、より個別化された指導が可能になるとAFPに説明。

「AIは教師を補い、役割そのものも変えるだろう」と話した。