【12月27日 AFP】中央アジア・カザフスタン西部で25日に起きた、搭乗者67人中38人が死亡したアゼルバイジャン航空の旅客機墜落をめぐっては、いまだに原因がわかっていない。

専門家らは残骸に見られる「多数の破片による損傷」から、旅客機はロシアの防空システムによって誤射された可能性を指摘している。一方、ロシアおよびカザフスタンの当局は「仮説」や「臆測」を避け、調査完了を待つよう求めている。

以下、現時点で判明している事柄をまとめた。

■ロシアの防空システム

軍事・航空専門家らは、アゼルバイジャン航空のエンブラエル190型機は、ロシアの防空システムによって撃墜された可能性があるとみている。

同機の飛行予定ルートは、アゼルバイジャンの首都バクーからロシア南部チェチェン共和国のグロズヌイまでだった。

この地域ではここ数週間、ウクライナのドローンによる攻撃が報告されており、25日には、チェチェンに近いロシア南部イングーシ共和国と北オセチア共和国でもドローン攻撃が報告されていた。

フランス航空事故調査局(BEA)の元局長ジャンポール・トロアデック氏は「機体に見られる痕跡は、ミサイルによって撃墜された可能性が高いことを示している」とAFPに語った。

またロシアの軍事専門家ユーリ・ポドリャカ氏は、旅客機の残骸に見られる穴が「対空ミサイルシステム」による損傷と類似しているとし、「すべてがそれを示している」と記した。

匿名を条件に話したBEAの別の元専門家も、残骸に「多数の破片による損傷」が見られると指摘。2014年にウクライナ東部で親ロシア派武装勢力に地対空ミサイルで撃墜され、298人が死亡したマレーシア航空MH17便を「ほうふつとさせる」損傷だと述べた。

■鳥の群れ

ロシア大統領府(クレムリン)のドミトリー・ペスコフ報道官は「調査の結論が出る前に、仮説を立てるのは間違いだ」と指摘。ロシアの主要な同盟国であるカザフスタンの当局も「臆測」を避けるよう警告している。

アゼルバイジャン航空は当初、墜落機は鳥の群れを通過したと発表したが、後に撤回した。

ロシアの航空当局も鳥が原因となった可能性を示唆したが、BEAの元専門家は、鳥との衝突が「飛行を妨げることはない」として、その可能性は低いと述べた。

カザフスタン保健省の地域支部は「機内での缶の爆発」に言及したが、詳細を明らかにしていない。