【4月19日 CNS】中国南部の広州市(Guangzhou)天河区(Tianhe)のペットショップ「ペット里親募集センター」では、ブリティッシュショートヘア、アメリカンショートヘアなどの猫が展示されており、それぞれに対応する里親募集の価格が表示されていた。

 募集のシステムは二つ。一つは市場価格で直接猫を購入する方法だ。もう一つが里親募集価格で、無料または低価格で引き取ることができるが、一定金額を毎月支払うなど各種条件を定めた契約書に署名する必要がある。

 センターのスタッフは、「月々支払う費用は猫の分割払いではなく、キャットフードや猫砂などの食べ物を買うためのものです」と説明する。初期費用を安く抑える目的もあるという。

 里親となった飼い主が14日以内にペットを「返品」した場合は14日以内から1500元(約3万1980円)、それ以上なら約3000元(約6万3961円)の違約金を支払わなければならないという。猫の市場価格は2800元(約5万9697円)から1万2800元(約27万2901円)の範囲であるため、一部の消費者は「里親募集」は単なる見せかけであり、本質的にはペットを分割で購入するためのローンではないかとの疑問を抱いている。

 広州だけでなく全国各地でも、同様の方法で「里親募集」のモデルを始めたペットショップが数多くある。

 このような「里親」契約は、ペットの病気や死亡などで紛争につながるケースも多い。広州市海珠区(Haizhu)にある「ブランド猫里親募集センター」から猫を引き取った曽(Ceng)さんもトラブルに遭遇した。

 引き取った猫は直後から一日中鼻水が出ていて、すぐに食欲がなくなったという。このため猫を里親センターに返却したが、その際にスタッフは「自己都合」で猫を返却する場合には、違約金を支払う必要があると要求してきたという。

 曽さんがこの体験をSNSに投稿すると、驚いたことに、このショップの別の系列店舗でも9人が同じような出来事に遭遇していたことが判明した。曽さんは、センターと交渉したり、行政や警察にも相談したりしたが、有効な契約が結ばれていることを理由に取り合ってもらえなかったという。

 現在のペット業界にはルールと監督が欠如しており、業界の発展の足かせになっていると指摘する業界関係者は多い。ペットとその買い主の権利を守っていくためには、関連法令を整備し、違反業者への罰則を強化する必要があるという認識は広く共有されている。(c)CNS/JCM/AFPBB News