【4月16日 CGTN Japanese】中国南部の深セン市の120番救急センターではこのほど、多くの通信指令員が同一の携帯電話からの着信を繰り返し受けましたが、電話がつながっても長い間無言のままでした。しかし、通信指令員が諦めずに努力したことで、電話をかけてきた人の救命に成功しました。なお、中国での電話の120番とは、日本の119番と同様の使われ方をしている番号です。

 広東省の深セン120番救急センターでは、3月26日午後3時9分から同一の携帯電話からの電話を何度も受けました。しかし、電話がつながっても相手は無言のままでした。通信指令員の陳翠娥さんはすぐに電話を切ることなく、辛抱強く何度も繰り返して様子を尋ねました。

 電話の向こうからやっと聞こえてきた声により、相手は交通事故による負傷者と分かりましたが、自分の居場所をはっきり言うことができませんでした。詳しい場所を話してもらえなかった陳さんは、配車システムが示す発信位置に基づいて、負傷者の発信位置から近い、約2キロ離れた救急ステーションの救急車を出動させました。しかし、正確な目的地が分からないため、救急隊員によると道を「ぐるぐる回っていた」とのことです。

 負傷者の居場所を知るために、陳さんはさらに業務用携帯電話を使って負傷者を微信(ウィーチャット、中国のSNS)の友だちに追加して、微信を通じて具体的な位置を送信してもらいましたが、微信による位置と電話の発信位置が一致しませんでした。陳さんはすぐに電話を通じて繰り返し質問し、負傷者に微信を通じて位置を再び発信させましたが、1回目の位置とはまた違っていました。

 陳さんはやむを得ず再び電話をかけて確認したところ、幸いなことに、その時に宅配便の配達員が事故現場を通りかかって、電話を通じて患者の具体的な居場所を説明してくれました。そのことで、路上で「ぐるぐる回っていた」救急隊員は午後3時50分にようやく負傷者を発見しました。

 この負傷者は、交通事故により頭、首、胸などを骨折していて、救急車で病院に搬送されました。13日間の入院治療を経て、最近になり無事退院できたとのことです。(c)CGTN Japanese/AFPBB News