【4月16日 東方新報】中国在住の日本人映画監督・竹内亮(Ryo Takeuchi)氏が監修したドキュメンタリー映画『劇場版 再会長江』が、12日から日本で公開されている。

 竹内氏は2010年から11年にかけて、NHKのために長江(揚子江、Yangtze River)を題材にしたドキュメンタリーを撮影している。それから10年後の21年から約2年間、彼は全長6300キロの大河をたどり、10年前に撮影した沿岸に住む人々の何人かとも再会した。

「日本のメディアが描く中国は客観的ではありません。私は日本の観客に、中国を誇張したり批判したりすることなく、本当の中国を見せたいのです」、竹内氏は7日に東京で行われた自身の文化コミュニケーション会社と駐日中国大使館共催の上映会とメディア交流会でこのように語った。

 竹内氏は「中国に行ったことのあるほとんどの日本人は中国を好きになり、日本に行ったことのあるほとんどの中国人も日本を好きになります。しかし、ここ数年は新型コロナウイルス感染症の流行や日中両国の外交関係の悪化により、現在中国を訪れる日本人は少なくなっています。私は両国民の交流がもっと増えることを願っています」と語った。

「この映画を観て、多くの日本人が中国に行ってみたいと思うことでしょう。私の映画が日本人に中国を理解してもらうための第一歩となり、実際に中国を訪れるきっかけとなることを願っています。中国に行ったこともないのに、やみくもに中国を批判しないでください」、竹内氏はこう強調した。

 また、呉江浩(Wu Jianghao)駐日中国大使も「より多くの日本の皆さんが中国を訪れ、両国の人的交流がさらに促進されることを願っています」とスピーチした。

 竹内氏は千葉県生まれの45歳。2013年に家族で中国に移住し、妻の故郷である江蘇省(Jiangsu)南京市(Nanjing)に定住した。

「南京に住んでいるので、長江にはセンチメンタルな思いがあります。長江沿いには『三国志』にまつわる場所がたくさんあるし、上海、南京、武漢(Wuhan)、重慶(Chongqing)など、日本人に比較的なじみの深い都市もあります」、竹内氏はこう語る。

 竹内氏の話では、彼が前回長江のドキュメンタリーを撮影した時は中国語が話せず、中国人の実際の生活も理解できなかったため、満足のいく作品にはならなかったという。そのため彼は中国語を学び、中国を理解する努力をしていた。

 竹内氏は『劇場版 再会長江』のほか、海外に住む中国人や中国に住む外国人の生活や風習を紹介した『私がここに住む理由』などのドキュメンタリー作品も制作している。また、『走近大凉山』『南京抗疫現場』『お久しぶりです、武漢』などの作品もある。

 竹内氏は今、「中国残留日本人孤児」の物語を撮り始めている。第二次世界大戦で日本が敗戦した後、日本人に捨てられた孤児たちは中国人の家に養子に出された。その人たちが現在80代になっており、今のうちに彼らの物語を記録に残そうとしている。

 来年は日本の敗戦から80周年にあたるが、竹内氏は来年に向けてこのドキュメンタリーが中国と日本で放送されることを期待しているという。(c)東方新報/AFPBB News