【4月13日 東方新報】古くなった携帯電話、余ったスキンケア製品、季節ものの服や靴など。近年、中古品取引で遊休品を処理する人が増え、「中古品を買って中古品を使う」ことが生活のトレンドになっている。清華大学(Tsinghua University)エネルギー環境経済研究所などが発表した報告書によると、2020年以降、中国の中古品取引市場は1兆元(約21兆円)を超す規模に達し、現在も高成長軌道にあり、25年には3兆元(約63兆円)を超えると予想されている。

 中古品取引がますます盛んになる理由は何か。どうすれば中古品市場を適切に管理し、業界の健全な発展を促進できるだろうか。

 上海浦東新区に住む朱祖権(Zhu Zuoquan)さんは、引っ越しの時に、あまり着ていない服を整理した。朱さんは古着を直接捨てずに、まず中古品取引プラットフォームに情報をアップロードする。買い手はオンラインで取引の詳細を交渉する。取引が成立したら、宅配便のドライバーが売られた古着をピックアップする。家を離れることなく、指先で簡単に完了した中古取引だ。「1週間くらいで古着処分が出来ました。欲しい人に品物が渡り、私にもちょっとした収入がありました」、朱さんはこのささやかな取引に満足している。

 家電製品、家具、その他の生活の大きな部分から、スキンケア製品、書籍、その他の日常的な小さな部分まで、中古取引の対象はますます豊富になっている。より多くの不用品が「古いものを資源に、廃棄物を消費に」を実現している。

 中国の中古品のEコマースの規模は22年に4802億元(約10兆842億円)、ユーザー2億6300万人、それぞれ前年比20パーセント、17.9パーセント増加した。

 中国のショート動画アプリの「快手(Kuaishou)」や「抖音(Douyin)」なども、この市場に参入した。

 なぜ中古品の売買が盛んなのか? 若者の消費意識の変化が重要な理由だ。各種の中古品ECアプリのユーザープロフィールを見ると、18~34歳の若者が中古品取引に積極的であることがわかる。現代の若者にとって、買い物をする時に面子は気にせず、価値の高いものを買う「理性的消費」を好むようになった。『ほとんどの品物の価値は使用価値だ』と認識する傾向にある。

「新しい物が買えないわけではないが、中古品の方がコストパフォーマンスがいい」、 95歳の顧豊豊(Gu Fengfeng)さんはこう考えている。「消耗品は、新品に高いお金を払うより中古プラットフォームで中古品を安く買った方が良い。その方が買い物のプレッシャーも少ない。注意して品定めすれば、在庫品の品質は新品に劣らない」と言う。

 中古品を選ぶことは、個性化された消費を追求することの反映でもある。古着を例にとると、近年のレトロなトレンドの台頭で、古着の時代感や希少性を感じさせるものが人気を集め、古着愛好家はオンラインやオフラインで大規模な「掘り出し物市」を行っている。

 彼らにとって古着を買うことは「古いものを買う」という意味だけでなく、古着独特の質感や素材や裁断の仕方を鑑賞し、その時代の流行の「刻印」を感じ取ることなのだ。

 昨年成都市(Chengdu)で開催された「第31回夏季ユニバーシアード(31st Summer Universiade)」では、多くの選手が選手村から借りた携帯電話を入れた小さな赤いバッグを肩に掛けていた。これらの携帯電話は全て、在庫品販売サイトを運営し循環経済を志向する企業「転転集団(Zhuanzhuan)」から無償で貸し出されたものだった。このため、成都ユニバーシアードは、「中古品リサイクル」を導入した世界初の国際総合イベントとなり、またCO2排出量の削減を現実的な形で支援するイベントにもなった。

 中国のスマホ市場データによると、昨年は2億8900万台が出荷されている。使用済みのスマホの発生量は年々増加し、第14次五か年計画中に放置されるスマホの総数は60億台に達する見込みだという。貴金属の部品を使用した使用済みスマホは、適切に処理されなければ無駄になるだけでなく、大きな汚染源となる。このような背景で、現在インターネット、ビッグデータなどの技術を利用して中古スマホを大規模にリサイクルする中古取引プラットフォームが登場し、比較的大規模な産業チェーンが形成されている。

 スマホに代表される3C製品(コンピューター、通信、家電)だけでなく、他の種類の不用品にも残存価値があり、中古品取引はその中で重要な役割を果たすことができる。

「浙江清華長江デルタ研究院・生態環境研究所」の劉鋭(Liu Rui)所長によると、中古品取引は、グリーン消費の重要な一部として、物品の耐用年数を延ばし、消費の末端での削減を促進し、経済と社会のグリーン転換を助けることができ、これは循環経済における「減量化、資源化、」の原則に沿ったものだ。

 中国循環経済協会の朱黎陽(Zhu Liyang)会長も「リサイクルは原材料の採取、輸送と生産・加工におけるCO2排出を効果的に削減することができる」と指摘している。

 中国のハイテク大手・阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)傘下の在庫品取引プラットフォーム「閑魚(Xianyu)」を例にとると、23年度、このプラットフォームに参加するユーザーは、年間累計300万トン以上のCO2を削減することになる。これは224万8000世帯が1年間に使用する電力から発生するCO2排出量に相当する。中国循環経済協会の推計によると、循環経済発展の包括的な貢献は、25年までに中国全体のCO2排出削減の30%を超えると予想されている。(c)東方新報/AFPBB News