【1月31日 東方新報】飲食店にとって、今やグルメサイトの口コミ評価は商売を大きく左右する死活問題だ。店に落ち度がなくても悪質なレビューが書き込まれれば、店側は泣き寝入りするしかない。そんなトラブルに対し、中国のEコマースのプラットホームでは店と客のどちらの言い分が正しいかを他のユーザーらが「陪審員」として判断する仕組みが登場し話題となっている。

 北京市のある飲食店は、牛肉ビーフンをデリバリーした客から不当な評価を受けた。評価は星一つで、「なぜ塩漬け肉を使っているのか」など事実と異なるコメントまでつけられた。店の経営者はデリバリーサービスのアプリにある「提訴」ボタンをクリックし、食材や調味料、包装についても説明した上、不当な評価を削除するよう求めた。その2日後、約20人の陪審員による投票が行われ、16対4で経営者の要求は認められたという。

 これまで客の評価に対し、反論のすべがなかった店側にとっては救世主となる仕組みかもしれない。だが問題点は少なくない。

 この経営者によれば、悪評を受けるたびに提訴を試みるものの、ほとんどはシステムによってはねられ、陪審員に判断を委ねる段階までたどり着けないという。「システムで訴えが却下されれば再チャンスはなく、悪い評価は永遠に残ってしまう」と指摘する。

 陪審員たちの判断が本当に妥当で公平かという根本的な疑問も残る。

 中古品取引のプラットホームから依頼を受け、陪審員を務めたことがあるという男性は「陪審員の選び方はいいかげんで、審理には何のルールもない。一票でも多い方が勝つというのは不合理」と話す。男性によれば、争いの当事者の証拠提出などが終わり切らない時点で投票が始まったこともあったという。ならば、多くの陪審員が証拠も見ずに「判決」を下したに他ならず、その判断が主観や感情に基づいた疑いは否めない。

 あるネット民は、自身のケースに下された陪審員の判断へ不満を訴える。中古品取引のプラットホームで200元(約4128円)余りの古着を買ったところ、届いた品物は汚れていて異臭までしたので返品を求めた。だが、売り手側は返品を認めず洗濯費用として40元(約825円)だけ返却すると主張。投票の結果、5対9で売り手側の言い分が認められてしまったという。

 この仕組みはまだ登場したばかり。陪審員の選択方法など改善の余地は大きそうだが、ネット経済の欠点を補う画期的なシステムとして定着するのか注目されている。(c)東方新報/AFPBB News