【4月12日 AFP】米大リーグ(MLB)、ロサンゼルス・ドジャース(Los Angeles Dodgers)でプレーする大谷翔平(Shohei Ohtani)選手の元通訳、水原一平(Ippei Mizuhara容疑者(39)が11日、違法賭博の借金返済のために大谷選手の銀行口座から1600万ドル(約24億5000万円)以上を不正送金した銀行詐欺の容疑で訴追された。 

 米連邦検察のマーティン・エストラーダ(Martin Estrada)検事は記者会見で、水原容疑者の違法賭博に関して大谷選手が把握もしくは関与していた証拠は何もないとし、「この点を強調しておきたい。この件について大谷氏は被害者であると考えられる」と述べた。

 司法当局は、水原容疑者が2021年11月から2024年1月にかけて、「違法ブックメーカーが運営するギャンブルによる巨額の借金を支払うために」大谷選手の口座から無断で送金を繰り返し、その総額は1600万ドル以上に上っていたと公表した。また、2018年に当時英語が全く話せなかった大谷選手に同行し、米アリゾナ州の銀行の支店で口座を開設していたことも明かした。

 この事件の宣誓供述書には、「プロの野球選手として稼いだ大谷の給与は、この口座に預金されており、彼はこの口座や他の金融口座の管理権を水原氏に与えたことは一度もなかった」「水原氏は、米国を拠点とする日本語スタッフが誰もいない大谷選手の財務担当者らに対し、この口座にアクセスすることを大谷選手が拒否していると話していた」と記述されていた。

 エストラーダ氏は、水原容疑者が大谷選手の通訳として雇用されていた一方で、「事実上のマネジャー」だったと指摘し、「水原氏は大谷氏に信頼されていた立場から、大谷氏の財務関係に独自のアクセス権を持っていた」と述べた。

 司法当局の訴状には、水原容疑者がギャンブルにのめり込むあまりに、賭けの回数や金額が膨らんでいった詳細が記されている。それによると、水原容疑者は2021年12月から24年1月にかけて10ドル(約1500円)から16万ドル(約2400万円)の金額の賭けを約1万9000回にわたって行っており、1回当たりの平均額は1万2800ドル(約195万円)で、この期間の損失額は合計約4070万ドル(約62億円)だったとされている。

 水原容疑者は後に、大谷選手の銀行口座の連絡先を自分の電話番号や自分につながる匿名の電子メールに変更していたという。また、電信送金を承認させるため、大谷選手になりすまして銀行員をだましていたとされており、銀行の電話記録にはその様子が録音されていた。

 大谷選手は警察の聴取で水原容疑者に対する電子送金の許可を否定しており、司法当局は「大谷氏は携帯電話を警察に提出した。そして警察は、水原氏の違法賭博行為や借金の支払いに関し、大谷氏が把握あるいは関与していた証拠は一切なかったと判断した」と補足した。(c)AFP