【4月10日 AFP】実業家のイーロン・マスク(Elon Musk)氏は、偽情報を拡散していると見なされたX(旧ツイッター)ユーザーのアカウント停止を求めるブラジル最高裁の命令に従わない考えを表明し、司法妨害などの疑いで同国で捜査対象となっている。

 マスク氏は、アレシャンドレ・ジモラエス(Alexandre de Moraes)最高裁判事に対し、ソーシャルネットワークを検閲する「独裁者」とも非難している。

 両者が対立している背景をまとめた。

■マスク氏の攻撃

 ジモラエス氏は偽情報の撲滅を推進しているが、特に、ジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領の極右の支持者が選挙結果を覆そうとする動きを取り締まることに力を入れてきた。

 そんなジモラエス氏に対してマスク氏は、「憲法への裏切り」「辞任するか、または弾劾されるべきだ」とする投稿をXに書き込み、アカウントの停止命令には従わない考えを示した。

 きっかけとなったのは、米国のジャーナリストで活動家のマイケル・シェレンバーガー(Michael Shellenberger)氏によるXへの投稿だ。同氏は3日、マスク氏がX買収後の2022年に公開した内部文書に基づく報告書で、ジモラエス氏が「言論の自由を徹底的に弾圧」していたと非難。

 シェレンバーガー氏は、「ブラジル議会の現職議員への検閲」を試み、「ツイッターの不適切なコンテンツの削除を求めるポリシーを武器に」当時のボルソナロ大統領の支持者を弾圧したと主張した。

■最高裁の反応

 一方のジモラエス氏は7日、自身が停止したアカウントをXが復活させた場合、1日10万レアル(約300万円)の罰金を科すとの措置を発表した。

 ジモラエス氏は、マスク氏がXを「犯罪の道具」としていると非難し、共謀罪や司法妨害などの疑いで捜査を進めている。

■マスク氏とボルソナロ氏の「ブロマンス」

 マスク氏は、「ブラジルのドナルド・トランプ(Donald Trump、前米大統領)」と呼ばれることもあるボルソナロ氏とは「ブロマンス」と言えるような関係を築いている。ブロマンスはブラザー(兄弟)とロマンスをかけた造語で、男性同士のプラトニックな親密さを意味する。

 偽情報を広めたとしてソーシャルメディアから多数の投稿が削除されているボルソナロ氏。2022年にマスク氏がツイッターを買収した際には祝意を表し、同年には、同氏の「ブラジルへの貢献」をたたえ、勲章も授与している。